打撃急成長の小松涼馬(帝京)は誰よりも肝が据わっている!
現地時間の12月17日から東京代表はキューバ代表との試合がスタート。第1戦は3対7で敗れた。しかしその中でも一矢報いる活躍を見せたのが小松 涼馬(帝京)だ。キューバの速球投手相手に4打数2安打3打点の活躍。唯一の1年生ながら先輩に負けない活躍を見せてくれた。
富田林リトルシニアから鳴り物入りで入学し、1年生ながらレギュラーを獲得した小松といえば「守備の人」というイメージがある。なぜここまで打てるようになったのか?そんな小松の活躍の背景を振り返っていきたい。
打撃進化の秘密は「始動」と「ステップ」
キューバ戦で4打数2安打3打点の活躍を見せた小松 涼馬(帝京)
キューバ代表には評判通り速球投手が揃っていた。先発のノルヘ・ベラは190センチ82キロの長身右腕。コンスタントに140キロ中盤をたたき出し、小松自身も「本当に速かったです。変化球も日本人投手にはない曲がり方をしたのでびっくりしました」と驚きを隠せない様子だった。だが見せ場はすぐに訪れた。
3回表、一死一、二塁の場面で第2打席が回ってきた。小松に対しベンチは「バットを短く持て!」の指示。小松は「1打席目は長く持って詰まったので、バットは一握り余して鋭く振ることを心掛けました」とバットを短く持った。そしてインコースの速球を振り抜き、レフト線を破る二塁打となり逆転に成功。3打席目もインコースの速球を振り抜き、適時三塁打。キューバ選手に負けない打撃を見せた。
それにしても11月のセレクションの時や、練習試合とはくらべものにならないぐらいの成長である。小松は木製バットに対応するために打撃フォームを修正した。特徴的は、ヘッドを投手方向へ傾けすぎず、なるべく垂直に落としてインサイドアウトで振り抜くことができていること。結果的に140キロ台の速球に対応している。打撃フォームの意図について小松はこう説明する。
「速い球なので無駄な動きをなくして、最短距離で打つことを心掛けた結果、今のフォームになりました」
またタイミングの取り方も意識している。
「日本にいたときは足を結構上げていたんですけど、足を引きずるように上げていったら強い打球を打ち返すことができました」
左:日本にいたときのフォーム 右:現在のフォーム
日大三戦とキューバ戦の写真を見ると、その違いは一目瞭然。日本にいたときはしっかりと上げているが、今では足上げを小さくしている。木製バットで結果を残すためにいろいろ工夫している様子が見える。帝京の監督としても小松を見守る前田三夫監督は「小松は覚えが早い選手。木製バットの打ち方をつかんでいますよね」と教え子の成長に目を細めた。
1年生ながら唯一の代表入り。先輩達には「とても優しくしてもらっています」と感謝の様子。そんな小松は遊撃手・成瀬脩人(東海大菅生)から守備を教わるためにグラウンドでは常に行動する様子が見られ、ゲッツーでの息もぴったりだ。
上昇志向のある小松だからこそ、キューバの内野手の動きに刺激を受けている。この試合、東京代表がセカンドゲッツーになった場面で、ベース寄りで捕球した二塁手は捕球した後、右手に持ち替え、バックハンドトスを行ったのだ。あっさりとゲッツーを完成させた一連の動きに「あれは自分もやりたいプレーです」と目を輝かせた。
前日の合同レセプションでは自分のことを「NINJYA」と紹介し自ら忍者の動きを見せ、キューバ選手を笑わせた。小松は「もうやるしかなかった」と腹に決めていたようだ。
小松は学校近くのアパートで1人暮らし。食事も、雑務も自分1人でやる。そういうところが精神的な強さに結びついている。
野球においても、生活面においても、決めたからにはやり抜く。小松 涼馬はほかの誰よりも肝が据わっている。
文=河嶋 宗一
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