「3年間で5回甲子園に出場したい」 目指すは高卒ドラ1でプロ入り! 中森俊介(明石商)【後編】
今春のセンバツで初の4強入りを果たした、明石商の2年生エースとして総合力の高い、センスあふれる投球を披露した中森俊介。全4試合に登板し、計31回3分の2を投げ、3完投、30奪三振を記録。全国の舞台でプロのスカウト陣の評価を大きく上げた。センバツ大会直前、明石商を訪問した際に中森投手に行ったインタビューの後編をお届けしたい。
◆驕ることなく地道に積み上げた鮮烈な甲子園デビューまでのルーツ 中森俊介(明石商)【前編】
来田涼斗からは大きな刺激を受けている
中森俊介(明石商)
「1年春からベンチ入りメンバーに入りたいと思ってました」
明確な目標を抱き、高校野球の世界に飛び込んだ。控え投手として入学早々にベンチ入りを果たすと滝川二との春季兵庫大会・決勝で先発を務め、5回1失点。近畿大会・大阪桐蔭戦でも先発マウンドに上がり、貴重な経験を積んだ。背番号17をつけ、臨んだ夏の甲子園大会はリリーフで登板し、全国デビュー。当時の自己新となる145キロを聖地で記録し、注目を浴びた。新チームでは1年生ながらエースナンバーを背負い、昨秋の近畿大会準優勝に大きく貢献。今春のセンバツ出場の原動力となった。
―― 高校野球人生、ここまで順調な道を歩んでますね。
中森 「1年春から公式戦に出場し、1年夏、2年春には連続[stadium]甲子園[/stadium]出場を果たすことができましたからね。いい感じできているとは思います。日々、野球と向き合うことが楽しいですし、充実しています」
―― 中森投手同様、1年春からベンチ入りし、2度の[stadium]甲子園[/stadium]出場をともに経験した同期の来田涼斗選手の存在は刺激になっているんじゃないですか?
中森 「なってますね。来田がすごいホームランを打ったり、いいプレーをするたびに『負けてられん、もっとやらなあかん!』という気持ちになり、すごく頑張れるんですよね。彼の存在は大きいです。励みになります」
―― 目標としているプロ野球選手はいますか?
中森 「巨人の菅野智之投手です。菅野投手関連の動画はインターネットで頻繁にチェックしていますし、ぼく自身、巨人ファンなので時間がある時はナイター中継を観ます。ピッチング練習に入る前のキャッチボールをすごく大事にされているので、自分も影響を受けています。参考になる部分がたくさんありますね」
甲子園出場のチャンスはすべてものにしたい
中森俊介(明石商)
―― 現在、ピッチングフォーム面で取り組んでいること、意識していることはありますか?
中森 「上半身に余計な力が入ってしまったときは、ボールにしっかり力が伝わり切らず、安定感も欠いてしまう。昨秋の調子が悪い時はこの状態でした。上半身と下半身がしっかり噛み合ったバランスのいいフォームで投げられる確率を高めることが課題ですね。
あと、自分は三塁側にインステップしてしまうクセがあるんです。真っすぐ足を踏み込もうと思っても、どうしても三塁側に踏み出してしまう傾向が強くて。インステップしてしまうと、やはり体が早く開きやすくなり、ボールも抜けやすくなってしまう。徐々にスクエアにもっていけたらと思っています」
―― 球持ちが長い、粘りのあるリリースが印象的です。
中森 「できるだけバッターの近くでボールを離したいとは思ってます。ただ、前でリリースする意識が強すぎると、体が早く開いてしまう悪いクセもあるので、意識のさじ加減が大事ですね。ブルペンでは1球投げるたびに「今のフォームはどうだったか」ということを自問自答しながら、チェックするように心がけています」
―― 無走者時ではしっかりワインドアップモーションで投げていますね。中森投手のこだわりですか?
中森 「小さい頃からずっとワインドアップにはこだわってますね。ピッチャーを始めた小学生時代から、ランナーがいない時はずっとワインドアップで投げ続けてきました」
―― 現在の変化球の持ち球は?
中森 「ストレート以外は、スプリット、チェンジアップ、カーブ、スライダーですね。ツーシームとカットボールの練習もしていたのですが、冬場に監督さんから『今は真っすぐをしっかり磨くことを優先した方がいい』というアドバイスをいただき、自分もその通りだと思ったので、ツーシームとカットボールを試合で使うことは、今は考えていません」
―― ストレートを磨くことを最優先?
中森 「はい。ツーシームとチェンジアップの練習は続けますけど、とにかく今は真っすぐの精度を高めることが最優先事項ですね。スピード、コントロール、質。すべてを極めたいです。質のいいストレートをアウトロー、インローに確率高く投げられるようになることが、チームを勝利に導く上でも一番プラスに働くと思うので」
―― 今後の目標、夢を教えてください。
中森 「高校に入る前から『3年間で[stadium]甲子園[/stadium]に5回出る』という目標を設定し、頑張ってきたのですが、1年夏、2年春のチャンスはものにすることができました。残りのチャンスは3回ですが、すべて甲子園に出たいです。そして野球を始めた時からずっと憧れてきたプロ野球の世界に高卒で飛び込みたい。できることならドラフト1位でいきたいです」
真っすぐな目で力強くそう語った中森俊介。伸びしろがたっぷりと残る逸材2年生右腕から目が離せない。
文=服部 健太郎