佐々木朗希に湧く岩手県 NPBでは同県出身の阿部寿樹がブレイク
岩手県の高校野球が盛り上がっている。それは、大船渡高校の佐々木朗希の影響によるものだ。すでに160キロを超えるストレートを投げており、打撃面でも優秀。プロ志望届を出せば、ドラフト1位で指名されることが確実な存在である。
練習試合にも多くのスカウトや報道陣、そしてファンが佐々木を見にやってきている。現時点でどのような進路へと進むかはわからないが、才能が開花したときの佐々木が非常に楽しみな存在であることは間違いない。
プロ野球の世界でも同じように岩手県の高校出身の選手が、注目を浴びつつある。中日の阿部寿樹である。
阿部寿樹が打撃好調でレギュラーに
Honda時代の阿部寿樹
球界を代表する選手である菅野智之や丸佳浩(ともに巨人)、中田翔(日本ハム)らと同じ1989年の阿部は今年の12月に30歳となる。
阿部は岩手県一関第一高校出身。高校時代に甲子園出場経験はなく、同校を卒業後に明治大、Hondaを経て2015年ドラフト5位で中日へと入団する。
昨シーズンまでの3年間で目立った成績を残すことができず、年齢的にも崖っぷちで今シーズンを迎えていた。
そんな逆境の中、阿部はすでにキャリアハイとなる27試合に出場し打率.323(93打数30安打)をマーク。二塁のポジションを手中に収めつつある。中日の二塁は長年、荒木雅博(現・中日コーチ)が君臨していたが、ここ数年はレギュラーを固定できずに泣き所となっていたポジション。
与田剛監督はその泣き所に阿部を抜擢し、それまで二塁での出場が多かった高橋周平を三塁で固定した。その高橋も打率は3割を超えており、まさに起用が的中している。
もちろん、これまでの実績がない阿部は現時点でレギュラーが確約されているわけではない。日々の試合がまさに勝負なのある。また、1年間を通して試合に出場したことがないだけに、これから先は本人にとっても未知の領域となる。コンディションの調整を行いながら、シーズンを通して戦うことができるだろうか。
岩手県出身者は現役高校生の佐々木や、花巻東高校OBの大谷翔平(エンゼルス)や菊池雄星(マリナーズ)だけじゃない。そう思わせてくれる活躍を続けた時、中日はきっと上位争いに顔を出しているはずだ。
※成績は5月15日現在
文=勝田聡