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新星スラッガー・今井秀輔(星稜)が誕生!今井の覚醒はここから始まる

2019.08.18

 星稜vs仙台育英の一戦は17対1と思わぬ大差となった。星稜の17得点のうち7打点をたたき出したのが今井秀輔だ。

 185センチ82キロと恵まれた体格から先制の満塁本塁打含む3安打7打点。シングルヒットが出れば、サイクル安打だった。ちなみにこの夏、石川大会を通じて5安打を放っているがそれはすべて二塁打以上と長打を打っていることになる。

 林和成監督が「新チームではクリーンナップ候補」と期待する大型打者・今井秀輔のサクセスストーリーを追った。

誰にも負けない長打力と指揮官絶賛のもう一つの武器

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今井秀輔(星稜) 写真=共同通信社

 「お立ち台に上がって、インタビューで答える姿はイメージしていました」
と答え、報道陣を沸かせた今井。背番号18ではあるが、長打力は誰にも負けないと自信に持つ今井。金沢シニア時代から長打力には自信があった。その長打力を買われ、東海選抜に選出されるなど、中学では評判の選手だった。

 今井の憧れは同郷の大スター・松井秀喜。松井の映像を見ながら、打撃技術を参考にしてきた。同時に星稜へあこがれの思いを持っていた。
「まだ石川県は[stadium]甲子園[/stadium]優勝がないと知りまして、石川県の中で[stadium]甲子園[/stadium]優勝が一番近いのは、星稜だと思い進学を決めました」

 入学当初から期待は高かった。しかしスタメン獲得はならなかった。その理由について林和成監督はこう語る。
「守備、走塁に課題があったこと。打撃も高校のスピードになかなかついていけていなかった。どうしても体格が大きい選手はそういう傾向があるので、それでも我慢強く使いました」

 また今井は長打力、確実性を両立させるために1メートルの長尺バットを振り続ける練習を自宅で繰り返し行ってきた。その成果を発揮し、石川大会では代打で二打席連続本塁打を放ち、[stadium]甲子園[/stadium]でもベンチ入りを獲得する。指揮官はその長打力と同時に買っていたところがある。それはファールで粘る能力だ。
「この1年でファールを打って粘れるようになりました。石川大会決勝戦の東海林の満塁本塁打の前ですが、今井がファールで何度も粘って四球で出塁して、それが満塁本塁打につながったんですよね」

 長打力、出塁力。それを全て評価され、[stadium]甲子園[/stadium]のベンチ入りにつながった。「本当にうれしかったですし、頑張ろうと思いました。いざ出番がきてもいいように準備は怠りませんでした」

 そして準々決勝。突然訪れたスタメンでも動じずに準備ができた。第1打席、左飛に倒れ、第2打席。インコースストレートを振りぬき、打球はレフトスタンドへ消える本塁打となった。

「まさかあんなに伸びるとは思わなかったです。自分はフルスイングと長打力が武器だと思っているので、打てて良かったです」と笑顔で本塁打の場面をそう振り返った。

 第3打席でも、「自分は体が大きいので、緩いボールが弱いと思ってカーブに狙い球を張っていきました」とその読み通り、カーブを狙い打ちして、レフト越えの適時二塁打を放ち、さらに左越えの適時三塁打と計7打点の活躍。

「今日は自分の読みが結構当たっていてよかったです。サイクル安打がかかっていることは8回の第6打席を迎える前に知ったのですが、力んでしまい、空振りをしてしまいました。第7打席はヒットを打つことよりもチームにつなぐことを意識して四球を選びました」
 とチームに徹する姿勢は忘れない。スイングスピード、飛距離はずば抜けており、歴代の星稜のスラッガーと比較してもトップクラスだ。

 林監督も「本当に大きい一発でした。時間がかかりましたが、ようやくここまで来ましたね」と未完の大砲の成長に目を細めた。
 今井は「今まで奥川さんに頼って負担をかけていたので、野手陣が頑張ろうと昨夜のミーティングで話し合ったので打てて良かったです」

 実際にこの試合は奥川の温存に成功して4強入り。非常に大きな試合となったが、今井の今後の成長にもつながる大きな試合となった。

 ひそかにイメージしていたお立ち台が実現した今井だったが「信じられないです」と目を丸くしていたが、今後は試合を決める豪打をさらに打ち、お立ち台に上がる機会はもっと訪れるだろう。

 そう期待を抱かせるほどのスケールの大きさ、伸びしろが今井には備わっている。

(記事=河嶋 宗一

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第101回全国高等学校野球選手権大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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