敦賀気比vs富島
全国レベルの好投手同士の対決は敦賀気比の笠島尚樹が制する!
富島の遊撃手・松浦佑星
高校野球ファンをくぎ付けにした松浦佑星(富島)の計算尽くしの守備と偶然が重なったホームスチール
100球、1失点完投勝利の敦賀気比のエース・笠島尚樹(2年)は全国レベルの好投手だった。
右スリークォーターから投げ込む直球は常時130キロ後半~144キロを計測。敦賀気比の2年生投手で、144キロは平沼翔太(北海道日本ハム)以来である。
2回裏にはコンスタントに140キロ台を計測し、6番・内山大夢の場面で内角に決まったストレートは最速143キロを計測。回転数が高いストレートで、キレの高さを感じさせる球質だ。何より内外角に投げ分けるコマンド力の高さも秀逸。120キロ後半のスライダーの切れ味もよい。精度の高いピッチングができるのは、投球フォームの良さにあるだろう。
セットポジションから始動し、ゆったりと左足を高々とあげながらも、右足をバランスよく上げることができている。打者よりでリリースすることができており、球持ちの良さが光るフォーム。
笠島は「ストレートの調子が非常に良くて、どんどん力で押すことができました」と好調ぶりをアピール。
177センチ71キロとまずまずのサイズ。来年のドラフト候補として期待を持たせる投球だった。
一方、富島のエース・黒木 拓馬を紹介したい。宮崎大会では42回を投げ自責点0だった黒木拓は全国レベルの好投手だった。
左足を大きく上げて、右スリークォーターから投げ込む直球は常時130キロ中盤~130キロ後半を計測。
直球と同じ腕の振りから繰り出す120キロ前半のスライダーも打者の手元で切れており、制球力も高いものがある。
現在、150キロ台を連発している戸郷翔征(聖心ウルスラ―巨人)の2年生時を思い出させる投球で、体ができれば、常時140キロ台を計測していてもおかしくない。
ただ本人によると、好調時では常時140キロ台は計測するそうで、ストレートが走らず、苦しい投球になったようだ。そのため黒木拓は「制球力重視でいきました」と振り返る。終盤にかけて捉えられ、7.1回を投げて、ミスが絡んで5失点。富島ナインはキレの良い動きを見せていたが、大事な場面での守備ミスが目立ち、悔しい試合運びとなった。
試合後、「まだ野球は続けます」と明言した黒木拓。体が出来上がれば、楽しみな投手だといえるだろう。
富島の遊撃手・松浦佑星に注目が集まったが、敦賀気比の遊撃手・中川 宙も守備範囲は広く、深い位置からダイレクトで投げられる強肩、バットコントロールの良い打撃が目を引いた。また、2安打を放った御簗 龍己もパワフルな打撃に加え、判断力の良い守備、キャッチングの良さ、強いスローイングと高レベルな捕手だった。
高校野球ファンをくぎ付けにした松浦佑星(富島)の計算尽くしの守備と偶然が重なったホームスチール
[page_break:両チームの個人成績表]両チームの個人成績表
完投勝利の笠島尚樹
「調子が上がらず不安だったのですが、ブルペンに入るとよいボールが投げられていけると思いました。甲子園にきて成長できたといえることは、9回裏に三塁打を打たれたんですけど、そこでも慌てず投げられたことだと思います」
高校野球ファンをくぎ付けにした松浦佑星(富島)の計算尽くしの守備と偶然が重なったホームスチール
(記事=河嶋 宗一)