嘉手納vs八重山
終盤に力を発揮した嘉手納が昨年に続くベスト8入り
この日最速138Kmを出した新垣
7回まではヒットが出ても得点する気配が無い嘉手納だったが、8,9回で素晴らしい集中力を発揮。見事な逆転劇でベスト8進出を決めた。
僅かに傾いた流れに乗って大逆転!
9回、八重山に起こったまさかの展開は、嘉手納にとって納得出来るものではなかっただろうが、それを見事跳ね返した意地の逆転劇だった。
嘉手納は初回、四球とヒットで一・二塁としたが「バントが課題」と大蔵監督がこぼしたように、次打者はピッチャー前へ転がし二走が三塁でアウトとなりチャンスを掴むことが出来ない。先制したのは八重山だ。3回裏、連打が生まれるも得点出来なかったが続く4回、2番内間敬太郎、3番下地寛太郎の連打で嘉手納先発の呉屋栄大をノックアウト。変わったばかりの新垣翔也から、5番玉木聖也が右中間へ三塁打を放ち二者が生還。6番伊志嶺拓磨もセンターへの二塁打で続き3点を奪い主導権を握った。
八重山先発の砂川羅杏は、2回以降、嘉手納打線に三塁を踏ませない好ピッチング。8回表も先頭打者を斬ると100球を超えて、八重山ベンチは迷うことなくスパッと交代したが、これが流れを変えてしまうとは、この時は分からなかった。
二死一塁から嘉手納は4番新垣がヒットで繋ぐと、5番伊禮颯哉がライトへのタイムリー。反撃ののろしに沸くベンチだったが一走の新垣が狙った三塁でアウトになってしまう。しかし9回、思わぬ形で嘉手納が八重山を飲み込む。
先頭打者が討ち取られたが、小禄大晴が四球で出塁。続く宮平ほたるがレフトへの二塁打を放つと、八重山ベンチはセンターで守っていた下地をマウンドへ送る。ところが。
投球練習をしていた下地の足がケイレン。水を飲んだが一向に良くならない下地が自ら「投げられない」とベンチへ送る。八重山は急遽サウスポーの宮平永翔をマウンドへ送ろうとしたが、ルールブック上では交代したピッチャーは打者1人を完了しない限り次の投手と交代が出来ない。
主審が「但し、審判員が投げられないと判断したときに限り交代を認める」と書かれてある項目を参照に、交代を認めた。この間約10分間。嘉手納ナインはベンチ前で円陣を組んだ。やってやるという思いが焦ってはいけない。落ち着いていこうという円陣だったが、内心燃えないわけがない。二死となったが、トップにかえり1番久場俊がライトへの長打。足の痛みを我慢しての激走は起死回生の同点三塁打となった。
ベンチへ下がった久場に続けと2番與儀哲正も続く。レフトへのタイムリー二塁打で遂に試合をひっくり返したのだ。
こうなると最後はエース新垣に託す嘉手納。「人生今までで一番楽しいと感じたイニングでした。」四球と犠打で二塁へ進まれるも、120%の力を発揮するように、これまで見せていなかった138kmをマーク。(ガンのスピードが出ないと言われるコザしんきんスタジアム。もしかすると140超えだったのかも知れない)最後は空振り三振に仕留め熱戦に終止符を打ち、昨年の先輩に続くベスト8を決めた。
(文=當山雅通)