Column

高校野球が頂点?小さな島国からプロ野球選手を輩出し続ける沖縄の野球vol.1

2019.09.21

 2017年、東浜巨沖縄尚学-亜細亜大-ソフトバンク)が16勝を挙げ最多勝に輝いた。そして翌2018年、山川穂高中部商-富士大-西武)が本塁打王、多和田真三郎中部商-富士大-西武)が最多勝に輝き、沖縄出身選手がプロ野球界を席捲している。この小さな島国から何故、プロの世界で活躍出来る選手が生まれるのだろうか。色々な視点からひも解いてみようと思う。

沖縄出身の現役プロ選手

高校野球が頂点?小さな島国からプロ野球選手を輩出し続ける沖縄の野球vol.1 | 高校野球ドットコム
山川穂高(中部商-富士大-西武)

 まずは現役のプロ選手をざっと挙げてみよう

宮國椋丞糸満-巨人)
大城卓三東海大相模-東海大-NTT西日本-巨人)
與那原大剛普天間-巨人)
嶺井博希沖縄尚学-亜細亜大-横浜DeNA)
平良拳太郎北山-巨人-横浜DeNA)
神里和毅糸満-中央大-日本生命-横浜DeNA)
宮城滝太滋賀学園-横浜DeNA)
又吉克樹西原-環太平洋大-香川オリーブガイナーズ-中日)
屋宜照悟中部商-国士舘大-JX-ENEOS-北海道日本ハム-東京ヤクルト)
嘉弥真真也(八重山農-ビッグ開発-JX-ENEOS-福岡ソフトバンク)
東浜巨沖縄尚学-亜細亜大-ソ福岡フトバンク)
島袋洋奨興南-中央大-福岡ソフトバンク※現育成)
砂川リチャード沖縄尚学-福岡ソフトバンク※現育成)
國場翼具志川-第一工業大-埼玉西武)
山川穂高中部商-富士大-埼玉西武)
多和田真三郎中部商-富士大-埼玉西武)
平良海馬八重山商工-埼玉西武)
與座海人沖縄尚学-岐阜経済大-埼玉西武)
島井寛人西原-ビッグ開発-熊本ゴールデンラークス-東北楽天)
比嘉幹貴コザ-国際武道大-日立製作所-オリックス)
大城滉二興南-立教大-オリックス)
宜保翔(KBC学園未来沖縄-オリックス)
比屋根彰人飛龍-オリックス)
上原健太広陵-明治大-北海道日本ハム)
大嶺裕太八重山商工-千葉ロッテ)
伊志嶺翔大沖縄尚学-東海大-千葉ロッテ)

 もちろん全員が一軍ではないが、中学から他の県へ越境入学した選手も含め、沖縄出身のプロ野球選手数は少なくない。まずは中学からの他県への越境入学という部分を含めた学童っ子たちからの沖縄の野球を紹介してみる。

[page_break: 代々受け継がれるDNA]

代々受け継がれるDNA

高校野球が頂点?小さな島国からプロ野球選手を輩出し続ける沖縄の野球vol.1 | 高校野球ドットコム
興南の選手たち

 語弊を恐れずに言うが沖縄の野球界は、今をもって高校野球が頂点と考えられる。プロ野球チームがなく(今年、琉球ブルーオーシャンズ球団が設立される)、大学・社会人のチームも人を呼ぶわけではない。野球という真剣勝負とともにグラウンドで華やかに催される始球式やチアガール、花火といったエンターテイメント性に飢えていると言ってもいいだろうか。もちろん、高校野球がそのエンターテイメントを担っているとは言わないが、親にとってまだ「子」として純粋に応援出来る高校野球の舞台は、学童・中学から続く野球生活の中で一応の区切りをつけられるある意味「最後の」という意識が強いのが沖縄だ。その原点もやはり高校野球だ。

 古くは1968年、夏の甲子園で興南がベスト4入り。勝ちあがるにつれ、県民皆がテレビにくぎ付けとなり道路から人の姿が消えていった「興南旋風」だ。そして赤嶺賢雄を擁した豊見城の3年連続ベスト8があり、仲田幸司らの興南を経て、沖縄水産の2年連続準優勝へと流れていく。克明に覚えているが、1990年の天理との決勝戦、あのレフト線への打球は「これで追い付いた!」とその場のテレビ前の人全員が歓声を上げたほどだ。

 それでもあと一歩届かないのが全国優勝。その夢がかなったのが1999年春の選抜。比嘉公也(沖縄尚学監督)が投げ切ったPL学園との延長死闘は全ての野球ファンの脳裏に焼き付いた。沖縄があのPLに勝つまでになったのかと、いつまでも語り継がれる伝説となり決勝も快勝。甲子園でウェーブが巻き起こった映像は感動以外の何物でもなかった。県民の悲願を達成した20世紀最後。その年代に高校野球を経験してきた男たちが親となり、その熱いDNAを子に託し指導する学童軟式野球が沖縄の野球を支える底辺だ。

(取材・當山 雅通

高校野球が頂点?小さな島国からプロ野球選手を輩出し続ける沖縄の野球vol.1 | 高校野球ドットコム関連記事はこちらから!
平良 海馬(埼玉西武ライオンズ・投手) 最速156キロの原動力は八重山商工時代の猛練習
「色褪せない3年間の記憶」一番良いゲームだった沖縄尚学戦 興南高校三年生座談会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.22

【鹿児島】神村学園は鹿児島商と沖永良部の勝者と対戦、鹿児島実は大島と初戦で対戦<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.22

【岐阜】県立岐阜商は高山西と対戦、同ブロックに中京<2024夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.22

【愛媛】23日に抽選会!名門・松山商が1歩リード、済美、今治西が追う展開か<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.18

今夏埼玉の注目野手18人! ドラフト1位級の花咲徳栄スラッガーを筆頭に浦和学院・昌平らに大型選手が揃う【埼玉注目野手リスト】

2024.06.18

昨夏甲子園出場の東海大星翔進路紹介!遊撃手は阪神、エースは専修大、主将はレギュラーとして大学選手権出場!

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.05.24

春季近畿大会注目選手17人! 智辯和歌山の大型右腕、大阪学院大高の全国トップレベル遊撃手、天理のスラッガーコンビら逸材がこぞって出場!