投手重視から野手重視へ?!過去10年間のドラフト1位のトレンドを見る
10月17日に行われた2019年プロ野球ドラフト会議では、総勢107名(支配下74名、育成33名)の選手たちが指名を受け、プロ野球への第一歩を踏み出した。今回は、過去10年間のドラフト1位選手のポジション別内訳を見ながら、トレンドの変化を見ていきたい。
投手重視から野手重視へと変わる傾向アリ?
ドラフトで指名されたときの森友哉
今年のドラフト1位選手は投手8名、内野手3名、外野手1名という内訳になったが、過去10年間のドラフト1位選手120名に目を移すとどのような割合なのか。
結果としては、投手84名、捕手5名、内野手18名、外野手13名と、やはり投手が非常に多くなっている。平均すると、毎年8~9名の投手が指名されている計算になる。投手が多いのは10年間変わらないが、その割合は少しずつ変化しつつある。前半の5年間(2010~2014年)で44名(平均8.8名)から、後半の5年間(2015~2019年)では40名(平均8名)と約1名減少。
今回の調査だけではこれが有意差であるとは言い切れないが、2018年ドラフトでは根尾昂や小園海斗を筆頭に6名の野手が1位指名を受けた。これは高校生ドラフトを導入していた2005年の松田宣浩、炭谷銀仁朗ら8名以来の数字である(ただしこの年は希望入団枠や高校生ドラフトも導入しており、希望枠+1巡目指名の合計は22名)。今年のドラフトでは8名と盛り返したが、来年以降どうなるか。
また改めて見てみると、捕手の少なさが際立つ。10年間で指名を受けたのは5名のみで、村上宗隆は1年目から内野手へとコンバートしている。捕手というポジションの特異性から、選手数自体も多くはないが、その重要性から考えると低い数字と言えるだろう。
「打てる捕手」が減ってきたと言われて久しいが、1990年代から2000年代には毎年のように「ドラ1捕手」が誕生していたことや、村上のように即戦力級の打撃を優先してすぐコンバートすることを考えると、近代の野球では打てる捕手の重要性が変化してきたのかもしれない。そういう意味では、6年目にしてガッチリと正捕手の座を掴んだ森友哉は、打てる捕手の価値を改めて示す存在と言える。
野球界のトレンドというのは常に変化するものだ。以前は「野球は投手をはじめとした守備力」という考えが絶対的なものだったが、メジャーの考えが入ってきやすくなったり、打撃の重要性も見直されつつある。今は野手の重要性が認識され、各球団の編成にも取り入れられてきたのではないだろうか。
もちろん、「ドラフト1位」のみで全てを語ることはできない。しかし、その年のドラフトで各球団が1番と認めた選手たちは、その象徴とも言える存在だ。今後も「ドラ1」から見える野球界のトレンドに注目だ。
(記事=林 龍也)