野村克也氏が背負った背番号「19」を引き継いだ甲斐拓也。2020年は高みを目指す重要な1年へ
甲斐拓也選手
ホークスにとって背番号19は重みのある背番号だ。ホークスの一時代を築いた大捕手・野村克也氏が背負い、1989年以降は山内 孝徳、大越 基(1997年から野手に転向)、ロッド・ニコルズ、永井 智浩、森福 允彦、アリエル・ミランダと投手が背負ってきた背番号だった。
2020年から正捕手・甲斐拓也が背負うこととなった。捕手が背負うのは野村氏以来で、43年ぶりの出来事だった。野村氏はテスト入団だったように、甲斐も育成6位から這い上がった選手だ。
甲斐がほかの選手に比べて違うなと感じるのはプレーに対する泥臭さ。打席に立てばなんとしても塁に出てやろうという気概が感じられた。それが強く出たのは、2013年のアジアウインターリーグだった。当時は血がにじむような努力をして、支配下選手登録になったばかり。
同期入団でドラフト1位の山下斐紹(現・東北楽天)が次世代の正捕手候補として高く期待を受け、二軍や一軍で試合出場を積む中、甲斐は三軍での出場が続いた。だからこそ、這い上がってやろうという気持ちが見えたのだろう。必死にボールに食らいつく様子が見て取れたし、自慢の強肩も当時から1.8秒台のスローイングを見せていた。
そこから甲斐は粘り強いプレースタイル同様にじわりじわりと上り詰めてきた。2017年には一軍定着し、103試合に出場。2018年には133試合に出場し、日本シリーズでは新記録となる6連続盗塁阻止を達成し、育成出身の選手としては初めてとなるMVPを獲得。2019年には育成出身の野手としては初めての二けた本塁打を達成し、第2回プレミア12に出場し、日本を代表する捕手として呼ばれる存在へ成長を遂げた。
野村氏は生前、甲斐に目をかける姿がメディア通じて多く見られた。境遇は同じものがあるだけに、思い入れが深い選手だったのだろう。
野村氏の背番号を43年ぶりに受け継ぐことになった甲斐にとって2020年はさらに上を目指す特別な1年になることは間違いない。
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