ジャイアンツの強打の裏にメジャー式練習。打撃練習から見つかった常勝軍団の工夫
実際に水道管のパイプを使う松原聖弥選手
原辰徳監督が復帰してすぐにセ・リーグを制したジャイアンツ。坂本勇人や丸佳浩、亀井善行などの豊富なタレントたちを擁する打線。さらにセ・リーグ1位の防御率3.79の菅野智之ら投手陣で優勝を成し遂げることが出来た。しかし日本一には届かず、2020年はセ・リーグ連覇、そして悲願の日本一が期待される。そんなジャイアンツの宮崎キャンプの練習を見ていると、見たことのない練習道具があった。
その道具は細長く、振れば少ししなる黒い棒。4か所のフリー打撃の横に設置されたロングティーの場所で打つ前に、ミートポイントまで黒い棒をトップから振って止める。それを繰り返してから、選手たちはロングティーを打つ。この棒は何なのか。すると、ティーを上げていた後藤孝志野手総合コーチが「ホームセンターとかで打っている水道管です」と話した。
これはメジャーでも取り入れられている練習で、大きく分けて2つの効果がある。まず1つが力をどのように発揮するかということ。後藤コーチの話では、インパクト時に最大のパワーをどうやって発揮するか。その方法を全力のスイングを止めることで理解させる、とのことだ。
そうしてもう1つはヘッドの返し。これは松原聖弥人が「バットを内側から出すことを前提として、インパクトで全力のスイングを止めたことによるしなりで、ヘッドを返す感覚を確かめています」と説明する。
こうすることで、ボールへ大きな力を伝えること。そしてヘッドを返すことで遠くに飛ばす力を確認している。それがホームセンターで打っている市販のモノで養うことが出来るのだから驚きだ。
時代の流れに合わせて最新技術が練習に取り込まれるようになり、ひと昔前に比べて効率化が進んでいる。そうした技術を取り入れるのは簡単ではないが、工夫1つで大きな効果を得ることができる。常勝軍団・ジャイアンツの強さの秘密が、違った一面から見えた瞬間だった。
(記事=編集部)