最悪の事態を想定しながらも、前へ向く道を模索する岡崎工
岡崎工
学校で作ったクラス単位のメールグループがあって、そこに野球部用のクループメールを作って貰い、個々の練習内容確認などをしているというのは岡崎工だ。そこには、野球の技術的なことだけではなく、社会の中で生きていく上で大事なことや心構えなども伝えながら、プリントアウトも出来るようにしているという。それを日課的にして、月~水曜日を木曜日に、木~土曜日の分を日曜日に送ってくるというようにしている。
技術的には「スイング早振り20回を10セット以上。ランニングは3キロ」というようなテーマを日ごとに送っていくというものである。
平松忠親監督は、とにかく「夏には大会が出来るんだ、という意識で身体作りをしておきなさい」ということは伝えているという。そして、そういう身体作りを怠らなかったら、「夏までには何とか戦えるチームとして、間に合わせてやるから」
そういうことを伝えている。とはいえ、先の見えない現状である。
「もちろん、最悪の事態ということも念頭に入れています。それで、もし(大会中止ということに)なってしまったら、それでも、どこかで試合をやらせてあげる形は残しておいてあげたい」
そんな思いは強く持っている。だから、球場を押さえることも含めて、前任校(豊田工)などにも連絡しながら、その準備も進めているという。
「どんな形でもいいですから、選手たちがやってきたことを披露する場。そして、応援して貰える場というのは、作ってあげたいですね。球場がとれなかったら、最悪の場合はウチの学校のグラウンドでもいいと思っています。一応専用球場になっていますから、それでも仕方がないです」
というのも、指導者としての本音であり願いだろう。
「当初は、選手たちは、さあ(練習試合解禁)というタイミングで試合がなくなってしまいましたからしょげていました。だけど、『こういう時だからこそ、意識をしっかり持っていけば、差をつけられるんだ』ということは伝えています」
という意識の大事さも、常に伝えている。
昨秋は西三河地区予選は1位で通過して県大会進出を果たしている。エースとして県大会やその後の全三河大会でも活躍した柵木和陽君は、台湾遠征の県選抜チームのメンバーにも選ばれた。そこで他校の有望選手たちとも交流を持てたのは貴重な経験だった。中京大中京の選手たちなどとも、個人的にメールなどで現状を確認して意識を高め合っているようだ。
「(中京大中京のような)高い意識を持っている同い年の選手たちから、いろんな意見が聞けると、そのことでも意識は高まりますよ。言っていることは同じようなことかもしれなくても、それをまた柵木が他のチームメートに伝えてくれます。そうすると、ボクから言うよりも、むしろ効果があるということもありますからね」
平松監督もそういった意味では、柵木君が県選抜で得た仲間からの言葉を、またチームメートへ伝えていくことの大切さを感じている。また、そのことで帰ってチームとしてのまとまりも高まっていくということもあるのかも知れない。
まだ、先行きの見えない今回のコロナ禍である。実際に、何をどう対処していくのがいいのか、正解は見えない。ただ、それぞれが限られた条件の中で、やれることを見つけ出して、意識だけは切らさないでいようという姿勢。そういう意識や思いが、天に届いて、最後にはいい結果がもたらされることを祈ってやまない。
記事:手束仁
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