丸亀城西vs多度津
丸亀城西を救った左腕の「斬新発想」
2番手6回3分の1を1失点(自責点1)で勝利に貢献した丸亀城西・大利 歩(3年)
直近では2018年夏に甲子園出場を果たしている強豪・丸亀城西。しかしそんな彼らの大会初戦は初回から苦しいものとなった「(6月15日に開催された)丸亀との定期戦では138キロが出ていた」(河本 浩二監督)先発・雨嶋 大和(3年・178センチ70キロ・左投左打・丸亀市立飯山中出身)が初回から制球に苦しみ、わずか打者9人・38球で多度津相手に4点を失い降板。なおも二死満塁。
しかしながら非常事態ともいえる状況で2番手マウンドに立った左腕・大利 歩(3年・175センチ73キロ・坂出市立白峰中出身)は極めて冷静に状況を分析し、フィニッシュボールを選択しようとしていた。
「自分はストレートは120キロ台早いボールはもっていません。そこで自分にしかないボールを練習してきました」。そのボールとは……。東京ヤクルトスワローズ・石川 雅規投手の90キロ台「カツオカーブ」にヒントを得たスローボール。球速は50キロ台。しかも東海大四(現:東海大札幌)・西嶋 亮太(元JR北海道野球クラブ)のような上空に投げ込むものではなく、通常のカーブ軌道を描くもの。本人いわく「ちりめんじゃこカーブ」はストライクコースをかすめて見逃し三振となった。
この1球が流れを大きく変えた。その裏、丸亀城西は二死から2点を返すと2回裏には一挙4点を奪って逆転勝ち。名門を窮地から救ったのは中学時代に「左利きの捕手をやっていた」大利の斬新発想であったことは間違いない。
(レポート=寺下 友徳)