東海大菅生vs中大杉並
高橋宏斗(中京大中京)と同じシニアだった藤井翔が熱投!「高橋には負けたくない」
3番手・藤井翔(東海大菅生)
8月1日、東海大菅生は1対1で迎えた9回裏、スーパー1年生・福原聖矢の左越え安打により、サヨナラ勝ちでベスト8入り。が実に大苦戦した一戦だった。
ベスト8入りを狙う東海大菅生は球威のあるストレートを投げる左腕・広瀬楽人が登板。恵まれた体格から投げ込む直球は常時130キロ中盤~135キロを計測しており、角度ある直球は球速表示以上に勢いがある。
広瀬がウリにしているのは、右打者へのクロスファイヤー。130キロ中盤でも急激に打者へ向かっていく球筋は非常に打ちにくさを感じる。また120キロ近いスライダーを低めに集める。何度もピンチを招きながらも抑えた投球は見事だった。
広瀬は2年生の時からオープン戦での経験を積んできた左腕だが、ここまで我慢強く投球ができるようになったのは1年間の成長だといえるだろう。6回まで無失点に抑える投球で、ゲームメイクした。
そして7回表、右サイドの栗原怜磨が登板し、120キロ後半の速球、スライダーでかわしに行くが、味方のエラーなどもあり、一死一、三塁のピンチを招いたところで、最速147キロ右腕・藤井翔が登板。まずバッテリーは相手のスクイズを外し、二死三塁にすると、続く打者は最速143キロのストレートで空振り三振に打ち取り、ピンチを切り抜ける。
藤井は8回表に不運な形で1点を失ったが、それでも140キロ台の速球は威力抜群だった。ストレートは21球計測して、140キロ超えは14球。平均球速は139.85キロとそのスピード能力は東京都トップクラス。躍動感あふれる投球フォームがよみがえり、回転数の高い速球は魅力的。
また120キロ台のスライダーの切れも悪くなかったが、藤井曰く「ばらつきが多く、勢いは良かったですけど、制御ができておらず全体的に良くなかった」と反省をしていたが、藤井の粘り強い投球があったからこそ、サヨナラ勝ちにつながったのだろう。
藤井は最速153キロ右腕・高橋宏斗(中京大中京)と同じ豊田シニア出身。身体能力の高さ、速球能力は高橋も認めており、また藤井も高橋を意識してきた。それだけに「あいつには負けたくないです」と対抗心を燃やす。チーム一の速球投手が復活したのは非常に大きいだろう。
この日は2失策。同点打になった場面も記録上に残らないミスであり、東海大菅生らしさがなかった。それでも余計な失点を与えない東海大菅生投手陣のレベルの高さは素晴らしいものがある。
準々決勝で対戦する日大二は毎年激しい戦いを繰り広げているだけに、この試合に出た反省を生かしたい。
(取材=河嶋 宗一)