Interview

怖いものなしのトルネード右腕。福大大濠・馬場拓海が「右のエース」に名乗り

2021.03.14

 秋季九州大会で準優勝の成績を残し、4年ぶりに選抜甲子園出場を掴んだ福岡大大濠。エースの毛利 海大を中心に堅実な野球で決勝まで勝ち上がったが、決勝進出の立役者となったのが背番号11の1年生右腕・馬場 拓海(新2年生)だった。

 182センチ・83キロ、サイド気味のトルネード投法から繰り出す130キロ中盤の直球に、スライダーのコンビネーションが持ち味の馬場。九州大会準決勝の宮崎商戦で先発すると、何と馬場は8回一死まで無安打の快投を見せる。無安打無得点試合はならなかったが、完封勝利を挙げて「右のエース」に名乗りを上げた。

持ち味は物怖じせずに腕を振れるところ

怖いものなしのトルネード右腕。福大大濠・馬場拓海が「右のエース」に名乗り | 高校野球ドットコム
馬場拓海(福岡大大濠)

 「怖いものなしで思い切り投げることができるので、1年生だからできた投球だったと思います。細かい投球術はこれからですが、思い切り腕を振って打たれて元々ぐらいの気持ちで投げたことが、良い結果に繋がったのではないでしょうか」

 そう語るのは、福岡大大濠の八木啓伸監督だ。

 直球の最速は130キロ中盤で、変化球もまだまだ精度が高いわけでは無い。それでも物怖じせずに腕を振れる点が評価され、秋季福岡大会でベンチ入りを果たすと初先発となった決勝の九州国際大付戦では4対3と競り勝ち完投勝利。チームが勝ち上がっていく中で自信をつけていき、九州大会での快投に繋げた。

 口数は決して多くなく淡々と投げるタイプだが、それでも九州大会で得た自信は伝わってくる。
「コースや高さがしっかり決まり抑えることができました。甲子園でも、ある程度は抑えることはできだろうと自信を持てるようになりました」

 秋季福岡県大会からベンチ入りを果たした馬場。実は大会の序盤は状態が良くなかった。ボールに勢いは無く、時折直球がスライダー回転することも。
その中で浮上のきっかけを与えたのは、八木監督の一言だった。

 「八木先生にシュートを投げるイメージで投げてみろと言われ、徐々にボールが良くなっていきました。九州国際大付戦では、納得のできるボールがいくようになりました」

[page_break:日本代表の同級生を尻目に「悔しかった」]

日本代表の同級生を尻目に「悔しかった」

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準決勝の宮崎商戦での馬場拓海(福岡大大濠)

 佐賀県の佐賀フィールドナイン出身の馬場は、同期にはU-15日本代表にも選ばれた西田 稀士郎浦和学院)がおりエース格ではなかった。それでも中学3年の春には130キロを記録し、将来性の高さを買われて福岡大大濠へ進学。同級生が日本代表として活躍する姿を尻目に、悔しい思いを持っていたという。

 「悔しくて高校では頑張ってやろうとずっと思っていました。大濠の先輩たちはとてもレベルが高かったのですが、早く試合に出たい思いはずっと持っていました」

 ライバルの元チームメイトより一足早く甲子園の舞台に立つことになるが、もちろん慢心はない。選抜までにさらなるレベルアップを遂げて、エースの毛利と共にマウンドを守っていく決意を口にする。

 「準決勝では良いピッチングが出来ましたが、決勝戦では疲労からボールが高めに浮きました。スタミナの向上とインコースへのボールが課題なので、選抜までに克服したいです」

 正捕手の川上 陸斗も「自信持ってもらいたい」と語るなど、チーム内の期待も今や小さくない。選抜甲子園でも周囲がアっと驚くような投球を見せて欲しい。

(記事=栗崎 祐太朗

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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