試合レポート

近大新宮vs高野山

2021.04.19

近大新宮が逆転で高野山を破る

近大新宮vs高野山 | 高校野球ドットコム
7回裏に適時三塁打を放った山﨑雄大(近大新宮)

 近大新宮高野山を相手に逆転勝ちを収めた。

 近大新宮の先発は背番号11の三田大知(3年)。右横手投げからストレート、スライダー、シンカーをコーナーに投げ分け、3回まで一人の走者も出さない完璧な立ち上がりを見せる。

 すると打線は2回裏、先頭の5番・草山源太(3年)が四球で出塁すると、続く6番・佐武雄二郎(2年)が1球で犠打を成功させ、一死二塁のチャンスを作る。ここで7番・田原壮真(3年)が左中間を破る適時三塁打を放ち、近大新宮が1点を先制。なおも一死三塁とチャンスは続いたが、高野山のエース・天野祐希(3年)が踏ん張り、これ以上の得点は許さない。

 試合は1対0のまま7回表に突入。高野山は疲れの見え始めた三田を攻めて二死満塁とすると、打席にはここまで好投を続けていた8番の天野が入る。天野はフルカウントからの6球目を上手くライト前に運び、二者が生還。エースの一打で高野山が逆転に成功した。

 しかし、近大新宮も引き下がらない。その裏、一死一、二塁と一打同点のチャンスを作ると、9番の三田に代えて植木太陽(3年)を代打に送る。植木は天野の甘く入った変化球を捉えて、レフトへ適時二塁打を放ち、試合を振り出しに戻した。

 なおも一死二、三塁とチャンスは続き、1番・温井護大(2年)の中犠飛で勝ち越しに成功。さらに相手の失策と3番・山﨑雄大(3年)の適時三塁打で貴重な追加点を挙げ、天野をマウンドから引きずり降ろした。

 近大新宮は8回から背番号1の左腕・新川祐貴(3年)を投入。高野山は代わり端を攻めて一死一、三塁のチャンスを作り、高校通算19本塁打の4番・渡邉大和(3年)を打席に迎える。一発が出れば同点の場面だったが、ここはセンターフライに倒れ、犠飛で1点を返すのが精いっぱい。近大新宮としてはよく1点で乗り切ったと言えるだろう。

 それでも諦めない高野山は9回表、二死から代打の佐藤秀太(3年)が三塁打で出塁すると、続く9番・石田飛龍(3年)がレフトオーバーの適時二塁打を放ち、1点差に詰め寄る。なおも二死二塁と一打同点の場面を作ったが、最後は一番の野村侑甫(2年)がサードフライに倒れて、ゲームセット。近大新宮が接戦をものにし、プロ注目の渡邉擁する高野山はここで敗退となった。

 「100点満点です」と笑顔で試合を振り返った高原広秀監督。三田が指揮官の予想を上回る好投を見せ、打線もここぞというところで、集中力を発揮した。スター選手は不在だが、全員で繋ぐ野球がモットーの近大新宮。この試合では選手起用もハマり、自分たちの力を出し切ることができた。

 一方、敗れた高野山の渡邉は「悔しさしかないです。まだまだかなと思うので、また見つめ直さないといけないと思います」とうつむいた。この日は2打数1安打1四球1打点1犠飛とまずまずの結果を残したが、「和歌山で注目されている選手はここぞの場面で打って、チームを助けているんですけど、僕はまだまだ」と自身の打撃に満足はしていない。この悔しさを夏にどう晴らしてくれるのかに注目したい。

(取材=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.22

【鹿児島】神村学園は鹿児島商と沖永良部の勝者と対戦、鹿児島実は大島と初戦で対戦<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.22

【岐阜】県立岐阜商は高山西と対戦、同ブロックに中京<2024夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.22

【愛媛】23日に抽選会!名門・松山商が1歩リード、済美、今治西が追う展開か<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.18

今夏埼玉の注目野手18人! ドラフト1位級の花咲徳栄スラッガーを筆頭に浦和学院・昌平らに大型選手が揃う【埼玉注目野手リスト】

2024.06.18

昨夏甲子園出場の東海大星翔進路紹介!遊撃手は阪神、エースは専修大、主将はレギュラーとして大学選手権出場!

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.05.24

春季近畿大会注目選手17人! 智辯和歌山の大型右腕、大阪学院大高の全国トップレベル遊撃手、天理のスラッガーコンビら逸材がこぞって出場!