優勝候補・関東一、二松学舎大附の対抗馬は?夏の東京を徹底展望!【東東京編】
2年ぶりに甲子園を目指す高校球児の夏が帰ってくる。けれども、コロナ禍はまだまだ続く。さらに議論が渦巻いている東京五輪も開催される。神宮球場や五輪の練習会場になっている大田スタジアムの使用も、大幅に制限される、その一方で東西東京大会の準決勝と決勝戦は、史上初めて[stadium]東京ドーム[/stadium]で開催される。
いままで経験したことのない、歴史に残る夏に東西東京大会を制するのはどこか。組み合わせから、東西東京大会を展望する。
2021年東京大会展望
・優勝候補・関東一、二松学舎大附の対抗馬は?夏の東京を徹底展望!【東東京編】
・東海大菅生と国士舘と同ブロックなど熾烈な対戦が続々!夏の東京を徹底展望!【西東京編】
修徳・都立雪谷が初戦で対決!日大豊山のブロックは激戦区に
荒木 慈安(日大豊山)
今年の東東京のシード校は、関東一、二松学舎大付、大森学園、日大豊山、都立小山台の5校だけ。準々決勝を目指す8分割のブロックに、シード校がいないブロックが3枠生じる。その一方でノーシードの有力校が多いので、序盤から好カードが多い。
中でも有力校が集まったのが、日大豊山が入ったブロックだ。日大豊山は初戦で、足立学園、駒込の勝者が城西大城西と対戦し、その勝者と対戦する。
城西大城西の主将でエースの渡邉 寮は小柄だが球威のある好投手。足立学園、駒込も力のあるチームだ。勝てば次は都立城東が有力だ。城東には2年前の秋季都大会4強進出の立役者、左腕の林 平太郎が健在だ。林は2年前よりグレードアップしている。
この勝者が5回戦で対戦するブロックでは、修徳と都立雪谷が初戦で対戦する。この対戦は、初戦屈指の好カードだ。最速145キロの速球を投げる修徳のエース・床枝 魁斗を雪谷打線がどう攻略するか?
順当なら5回戦は日大豊山・修徳のカードになる。日大豊山はこの春急成長した右の荒木 慈安、左の玉井 皓一郎、下手投げの足立 丈など、タイプの違う複数の投手を擁する。福島 直也監督は、これらの投手をどのように起用するか。5回戦までの道のりも、険しい。
このブロックの勝者は準々決勝で小山台がシードされたブロックの勝者と対戦する。2年前、3年前と続けて準優勝している小山台は、横手投げの木暮 瞬哉、一発のある捕手の森村 輝のバッテリーを中心に、秋は帝京をコールドで破るなど、力は十分ある。ただ初戦で対戦が予想される成立学園は、秋は二松学舎大付を土俵際まで追い詰めた強豪だ。投打の中心の村田 栄太郎がチームを引っ張る。このブロックでは都立文京・日体大荏原という好カードがある。また堀越も、春は欠場したエースの谷井 翼が復帰すれば、勝ち上がってくる可能性は十分ある。
[page_break:3回戦で共栄学園・上野学園の対戦か?]3回戦で共栄学園・上野学園の対戦か?
八田 成(大森学園)
第1シードの関東一は、比較的恵まれた組み合わせになった。しかし初戦で対戦する可能性のある攻玉社は、3年前も同じような状況で対戦し、関東一が勝ったものの1-0と苦戦している。さらに5回戦で対戦するブロックには、岩倉、都立江戸川、実践学園がいる。特に江戸川・実践学園は好カードだ。
関東一のブロックの勝者が準々決勝で対戦するブロックにはシード校はいない。けれども、強豪が集まるブロックになった。中でも3回戦での対戦が予想される共栄学園と上野学園は好カード。ともに今世紀に入ってから共学化し、野球部の歴史は浅いが、近年はシード校争いの常連だ。昨夏の独自大会でも3回戦で対戦し、この時は上野学園が勝っている。その他、駿台学園と目黒日大の一戦も近年力をつけているチームの対戦だ。このブロックには東海大高輪台もおり、混戦模様だ。
45年ぶりにシードされた大森学園は、4回戦での対戦が予想される立正大立正の一戦が序盤のヤマだ。小さな大投手・八田 成と、投手も兼ねる主将で捕手で1番打者の松本 哲郎がチームを引っ張る。対する立正大立正には横手投げの山本 紘正に主将で中堅手の松岡 拓海がチームを引っ張る。ともに大田区のライバルだけに、負けられない一戦になる。
勝者が5回戦で対戦するブロックには、秋の1次予選の日大桜丘戦で奪三振17を記録した都立のドクターK・山﨑 正義を擁する都立紅葉川、一発のある鈴木 浩太朗などを擁しシード校と遜色ない力がある東亜学園や安田学園などが有力だ。
[page_break:巻き返しを図る帝京の対抗馬は?]巻き返しを図る帝京の対抗馬は?
岩井 拓巳(東京成徳大高)
大森学園がシードされたブロックの勝者が準々決勝で対戦するブロックには、シード校はいないけれども、帝京がこのブロックに入った。帝京は、秋は2回戦でコールド負け、春は1回戦で敗退したものの、武藤 闘夢や尾瀬 雄大など昨夏の独自大会の優勝メンバーが残っている。
帝京の対抗馬は、4回戦での対戦が予想される明大中野か。明大中野は、秋は1次予選で敗れたものの、杉崎 友則、上田 時生などの好投手がいる。その他、都立雪谷を甲子園に導いた元日体大荏原監督の相原 健志氏が助監督に就任して話題の郁文館、秋は桜美林と互角の試合をした都立足立新田、岸 快誠投手など潜在能力のある日本ウエルネスなども虎視眈々と上位を目指す。
秋、春4強の二松学舎大付の初戦の相手は、東京成徳大高か錦城学園か。東京成徳大高は、春は左腕・岩井 拓巳の好投で東海大菅生に善戦している。錦城学園は、秋は東京成徳大高を破っており、両者の再戦は注目だ。都立高島も秋は早大学院に善戦している。
二松学舎大付のブロックの勝者と準々決勝で対戦するブロックにはシード校がいないうえに、とびぬけたチームもおらず、多くのチームに8強入りのチャンスがある。秋は國學院久我山に奇跡の逆転勝利を収めた城北、秋は1次予選で大森学園に善戦。今年の大学野球選手権では先輩のブライト 健太(上武大)が活躍した都立葛飾野、長打力のある捕手・神谷 翔吾を擁する東京実、左腕独特の落ちる球を持つ安保 優太郎を擁する目白研心などが有力だ。
東京ドームはどのチームも慣れていないので、思わぬ波乱が起きる可能性がある。それだけに、準々決勝までの戦いが重要だ。5校のシード校中心の戦いになるだろうが、そこに帝京、修徳などがどう絡むか。小山台、日大豊山、大森学園は序盤から強豪との対戦が予想されるだけに、戦国大会になる可能性がある。
(文=大島 裕史)