印出太一、宮下隼輔など輩出の東海中央ボーイズ 今年の注目は主砲・岡江と本格派右腕・沖
2012年に創立され、春夏合わせて3度の全国大会出場の実績を持つ東海中央ボーイズ(愛知県)。東海市や知多市近郊のグラウンドで活動を行っており、また大府市には室内練習場も完備。雨天でも選手がしっかりと練習が積める環境が整っており、その中から早稲田大の印出 太一選手(中京大中京出身)や法政大の西村 友哉選手(中京大中京出身)、また大阪桐蔭の宮下 隼輔選手(3年)など、活躍を見せるOBも次々に誕生している。
チームを率いる竹脇 賢二監督は、「OBの活躍は現役選手たちの大きな刺激になってる」と笑顔を見せ、また現在の3年生にも期待の選手が多くいると口にする。
努力の男だった早稲田大の印出太一選手
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「小学生や中学生は、やればやるほど体も心も技術も上達する時期です。なので、どこのチームよりも数多くボールを投げる、捕る、打つ、走る、試合をすることをチームの方針に掲げています」
チームの発足以来、竹脇監督が意識してきたのは選手の心身の健やかな成長だ。
チームが活動を行ってるのは、主に土曜日、日曜日、祝日。平日は練習を行うことができないが、その分週末にしっかりと練習をやり込み、また食育講習会も年に2度行うなど、効率よく成長のサイクルを生み出して選手を育成してきた。
「食に関してはBMI(体重と身長から算出される体格指数)を算出してあげて、甲子園に出場している選手たちの指数も認識してもらいます。普段の練習でも、10時と15時に補食の時間を作ってエネルギー切れを起こさないようにしており、自分の好きなものを食べてもらい、食に対する興味を少しでも持ってもらいたいと思っています」
こうした環境の中から、全国の舞台で活躍を見せる選手も次々に生まれてる。
早稲田大の印出 太一選手は、中学時代は世界少年野球大会日本代表に選出され、中京大中京では4番・捕手として髙橋 宏斗投手(中日ドラゴンズ)の女房役として活躍。早稲田大でも1年生ながらメンバー入りを果たしており、大きな期待を受けている選手だ。
「印出は、一言でいうと努力の選手です。調子が悪かったり、気分が乗らない時は、人間誰しもあると思いますが、そういった面が一切なくて、あのような選手はなかなかいません。
リーダーシップもあり、彼が中京大中京の野球部を変えたという話しも聞きました。野球の技術だけではなく、人間的にも非常に魅力のある選手なので、是非早稲田大学でも主将になって、チームを日本一に導けるような人間になってほしいなと思います」
また大阪桐蔭で主力をはった宮下 隼輔選手も、東海中央ボーイズで選手としての土台を作った一人だ。宮下選手もまた、中学時代は世界少年野球大会日本代表に選出され、大阪桐蔭では2年生から主力として試合に出場。強打の三塁手として活躍を見せた。
「彼は他の選手たちよりも体の成長が早く、同時に技術もある選手だったので、中学2年生から4番に座っていた選手です。一度4番を任せると、その後ずっと結果を残し続けて打順を譲らなかった、本当に勝負強い選手でした。
大阪桐蔭でも順調に成長しましたし、本人もプロに行きたいと言っているので、今後もその目標からブレずに練習してほしいなと思います」
今年の注目は中学通算◎本塁打の主砲・岡江伸英
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そんな東海中央ボーイズには、偉大なOBたちに続けと、練習を積む選手たちが今年も多くいる。
まずスラッガーとして急成長を見せたが、中学通算◎本塁打を放っている岡江 伸英選手。身長178cm、体重80kg、小学校時代に中日ドラゴンズジュニアに選出された岡江選手は、東海中央ボーイズでも地道な体作りにより順調に成長。読売ジャイアンツの岡本 和真選手を目標に掲げており、高校でも自慢の長打力を武器に活躍したいと意気込む。
「早くトップの位置を決めることができるようになり、ホームランが増えました。高校では70本くらい本塁打を打って、チームを勝たせられる選手になりたいと思っています」
竹脇監督は、岡江選手の急成長について「足腰の強化」と「体のキレ」の向上を挙げる。
入団時から身長173cm、体重80キロと規格外の体格を持っていた岡江選手だったが、体を支える足腰と体のキレに課題を感じていた。無理に試合に出場させることはせず、基礎体力作りからじっくりと鍛え上げることで本塁打の増加に繋げた。
「素材としては一級品でしたが、下級生の頃はどちらかというと怪我をしない体作りを意識するように言ってきました。一時は体重が10kg近く減って、体もしっかりと絞られてきたところから筋肉もついていき、二次曲線的にホームランが増えました。
滞空時間の長い、スピンの効いたホームランが彼の特徴なので、このまま小さくならずに将来は日本を代表するようなホームランバッターになってほしいと思います」
またピッチャーの沖 悠人投手は、将来性豊かな本格派右腕だ。
小学校時代はジャイアンツジュニアに選出され、球速はまだ130キロもでない程だが、スピンの利いたキレのある直球は出色。父・隆夫さんは、Vリーグ・豊田合成トレフェルサ(現:ウルフドッグス名古屋)で活躍した元プロバレーボール選手で、小学校4年時に隆夫さんがVリーグの理事・事務局長に就任するタイミングで、沖投手も一緒に東京に移住する。中学からは再び愛知に戻り、東海中央ボーイズに入団した。
現在は身長176センチ、体重65キロ。身長は、まだまだ伸び続けているといい、ここからの成長が非常に楽しみな投手だ。
「ジャイアンツジュニアの、チームメイトの活躍がとても刺激になってます。直球が一番の武器だと思っていて、いかにキレのある球を投げるかを大事にして練習しています。
高校では1年生からベンチに入って、自分の武器を生かせるように頑張りたいと思います」
その他にも、注目選手の多い東海中央ボーイズ。今後の活躍にも注目だ。
(記事:栗崎 祐太朗)