2018年春夏連覇メンバー、194センチ最速152キロ右腕など、2022年の近畿アマ球界もドラフト候補の逸材がズラリ
関西学院大の黒原 拓未投手(智辯和歌山出身)と三菱重工Westの森 翔平投手(鳥取商出身)が、それぞれ広島からドラフト1、2位指名を受けるなど、今年も近畿地区の大学、社会人から多くの好選手がプロへと巣立っていった。来年もプロ入りが期待できる選手や全国でも上位を狙えるチームがいくつかある。今回は2022年の大学・社会人野球を展望していきたい。
大学野球
関西大・有馬 諒(近江出身)、同志社大・青地 斗舞(大阪桐蔭出身)
今秋の関西学生リーグを制した関西大は、近江時代から好捕手として注目を集めてきた有馬 諒捕手(2年)が打率.370の高打率をマークしてベストナインを獲得。新主将の上神 雄三内野手(3年=佐久長聖)とともに、侍ジャパン大学代表候補合宿に召集された。定本 拓真投手(3年=三重)ら素質ある投手をどうリードしていくかに注目だ。
投手力に自信を持つのが立命館大。最速150キロ以上を投げる秋山 凌祐投手(3年=愛工大名電)と藤本竜輝投手(2年=社)の2枚看板は強力だ。他にも力のある投手が多く控えており、近畿地区屈指の投手層を形成している。
近畿大も大石 晨慈投手(3年=近大附)、久保 玲司投手(3年=関大北陽)と上のステージで活躍が期待できる左腕コンビを擁している。野手では俊足巧打の梶田 蓮外野手(3年=三重)や、U-18侍ジャパン代表の主将を務めた坂下 翔馬内野手(2年=智辯学園)に注目だ。
同志社大は2018年の甲子園春夏連覇メンバーで、今秋にシーズン最高打率を更新する.520をマークした青地 斗舞外野手(3年=大阪桐蔭)が主将としてチームを引っ張る。関西学院大は黒原の穴をどう埋めていくかがカギとなりそうだ。
京都大は身長194㎝で、最速152キロを誇る水口 創太投手(3年=膳所)に注目が集まる。秋季リーグ後から監督に就任した元ソフトバンクの近田 怜王監督の手腕にも期待したい。
関西六大学リーグは龍谷大と大阪商業大を中心にハイレベルな優勝争いを繰り広げそうだ。龍谷大は2年生が黄金世代。投手では明治神宮大会でも好投を見せた伊藤 岳斗投手(磐田東)と中澤 嶺投手(比叡山)、野手ではクリーンアップを任された西尾 将毅外野手(神戸国際大附)、米田 航輝外野手(市立和歌山)や内倉 一冴内野手(履正社)が中心となる。1年生ながら正捕手の座を掴んだ土井 翔太捕手(郡山)にも注目だ。
大阪商業大は小柄ながら威力のあるストレートを武器とする左腕の伊原 陵人投手(3年=智辯学園)が来年のドラフト候補になりそう。上田 大河投手(2年=大阪商大高)も2年後のドラフト上位候補だ。
大阪経済大は最速151キロ右腕の才木 海翔投手(3年=北海道栄)と強肩捕手の山本 健太朗捕手(3年=明石商)のバッテリーがプロのスカウトからも注目を集めている。
オリックス、ロッテで投手として活躍した光原 逸裕監督が新たに就任した京都産業大では、遠藤 秀太外野手(3年=滝川二)の驚異的な俊足ぶりをぜひ見てほしい。
阪神大学リーグは天理大の友杉 篤輝内野手(3年=立正大淞南)が俊足巧打の遊撃手として、ドラフト候補になりそうだ。守備にも安定感があり、全国でも屈指の遊撃手になれる可能性もある。
近畿学生リーグは5勝を挙げて秋のリーグ優勝に貢献した神戸大エースの藤原 涼太投手(3年=寝屋川)が主将としてチームを牽引する。和歌山大や奈良学園大の巻き返しにも期待したい。
京滋大学リーグは佛教大の木村 光投手(3年=奈良大附)に注目。身長173㎝と上背がある方ではないが、キレのあるストレートを投げ込む。フィールディングも上手く、野球センスを感じさせる。現在、佛教大が6季連続優勝を続けているが、京都先端科学大、びわこ成蹊スポーツ大、花園大らが食い止めることができるか。
[page_break:社会人野球]社会人
高校時代の河野 佳(広陵)、三井 健右(大阪桐蔭)
日本選手権を制した大阪ガスに有望株が多い。その筆頭が河野 佳投手(広島広陵)だろう。日本選手権では4試合に登板して19回無失点の大活躍でMVPに輝いている。140キロ台中盤のストレートとカットボールのコンビネーションが抜群で、制球力も高い。来年のドラフト上位候補に名前が挙がってくるだろう。
野手では児玉 亮涼内野手(文徳ー九州産業大)と三井 健右外野手(大阪桐蔭ー立教大)に注目だ。児玉は大学時代から守備力の高さに定評がある遊撃手。三井はボールを強く叩ける左の強打者で、来年は広島からドラフト6位指名を受けた末包 昇大外野手(高松商ー東洋大)の穴を埋める活躍を期待されている。
ドラフト候補という視点で見れば、NTT西日本の平良 竜哉内野手(前原ー九州共立大)も面白い。強いスイングが持ち味の右の強打者で、都市対抗では攻撃型2番として活躍した。翌年の活躍次第では、プロ入りの可能性も十分にありそうだ。
今年はミキハウスが16年ぶりの都市対抗出場を果たした一方で、日本生命、日本新薬、日本製鉄広畑といった強豪が出場を逃した。1歩間違えれば、奈落の底に突き落とされるのが社会人の怖さであり、面白さでもある。1球に対する集中力やプレーの精度の高さは、中高生の良き手本になるはずだ。機会があれば、ぜひ社会人野球の試合を観戦してほしい。
(記事:馬場 遼)