鹿児島城西vs奄美
主将の意地の1本・奄美
トーナメント表
・鹿児島大会の勝ち上がり
関連記事
・神村学園、鹿児島城西を軸に優勝争い 大島の春夏甲子園は?
大会の詳細・応援メッセージ
・第104回 全国高等学校野球選手権 鹿児島大会
日程・結果一覧
・鹿児島TOPページ
・第104回大会 全国47都道府県地方大会の日程一覧
<第104回全国高校野球選手権鹿児島大会:鹿児島城西9-0奄美>◇14日◇3回戦◇平和リース
鹿児島城西は初回、4番・明瀬諒介(2年)の左前適時打で先制した。
3回は無死一、二塁で4番・明瀬が左越えの2点適時二塁打。この日も2安打3打点と主砲の仕事をやってのけた。
5回は7番・池野 航太(2年)の中前2点適時打、6回は3番・藤田 剛(3年)の犠牲フライと好機を着実にものにして得点を重ねた。7回には8番・黒川 虎太郎(2年)が大会第7号2ランを放ってダメ押しした。
奄美は鹿児島城西投手陣の前に1安打に抑えられ、二塁を踏めずに敗れたが、最後に一矢報いた。
7回裏2死。点差は9点。奄美はそこまで無安打に抑えられていた。
「1本、出せ!」
ベンチの仲間の声を聞いて久志 歩夢主将(3年)が打席に立つ。「直球だけを張っていた」ら、1ボールからの2球目を中前に弾き返した。「ヒット0で終わりたくなかった。打ててうれしかった」と振り返った。
選手10人でも「気持ちで負けない」戦いを挑んだ。失点は食い止められなかったが「四死球やエラーで崩れて大量失点することなく、守備の面ではこれまで通り粘れていた」(遊畑 玄樹監督)。結果は完封負けだったが、大黒柱の主将が1本打ったことで「これからの奄高の未来につながる試合になった」。
部員10人の小規模チームだが「少人数でもやれる」ことを示す意気込みで日々の練習に取り組んだ。卒業生がよくグラウンドに来て練習を手伝ってくれた。この夏2勝を挙げてベスト16入りして恩に報いることができた。「技術的なことはもちろん、人間性を磨いて大人になる前の成長ができた」と久志主将は振り返る。
3年生7人が卒部すると残る1、2年生は3人。単独での出場は来年夏まで待つことになるが「活動を続けることが大事」と遊畑監督。たとえ合同チームになっても「奄美」の名前を大会の出場校から消さないことだ。
遊畑監督の母校・大口は野球部員がいない状態が続く。OBとして寂しい限りだ。奄美をそうさせないためにも「3年生が残してくれたこの結果を胸に、1、2年生3人で何とか野球部を存続させていく」決意を固めていた。
(取材=政 純一郎)