大島vs出水中央
良くも悪くも「自分たちの野球」・大島
大島サヨナラ勝ち(奄美新聞提供)
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<第104回全国高校野球選手権鹿児島大会:鹿児島大島7-6出水中央>◇18日◇準々決勝◇平和リース
初回、鹿児島大島は1死一塁で3番・武田涼雅主将(3年)が左越え二塁打を放って先制する。2回は1番・有馬航大(2年)の左前に落ちる適時打で2点目を挙げた。
出水中央は3回に内野ゴロで1点を返すと、4回は相手のエラーで同点に追いついた。
5回表は2死一、二塁で5番・齋藤凌(2年)が遊撃後方に落ちる適時打で初めてリードを奪い、6回も相手のエラーでリードを2点に広げた。出水中央は2回から毎回先頭打者が出塁し、鹿児島大島の好投手・大野稼頭央(3年)にプレッシャーをかけ続けた。
拙攻で3回以降追加点が奪えなかった鹿児島大島だったが、7回裏2死から3連続二塁打を浴びせ、3番・武田主将、4番・西田心太朗(3年)の適時二塁打で同点に追いついた。
出水中央は8回、先頭の6番・村山大地(3年)が右越え二塁打で出塁。力投を続けた8番・坂口颯翔(3年)が中前適時打を放って勝ち越し。更には1番・村山大志(3年)も左前適時打。村山双子兄弟の活躍などで2点を勝ち越した。
後がない鹿児島大島は9回裏、1死から四球、連打でつないで満塁とし、途中出場の6番・体岡大地(2年)が押し出し四球を選び、7番・青木蓮の犠牲フライで同点。最後は8番・美島永宝(3年)が中前適時打を放ち、2時間32分の死闘に決着をつけた。
鹿児島大島は良くも悪くも「自分たちの野球」(塗木哲哉監督)を出し尽くして、夏の大会初の4強入りを勝ち取った。
エース大野が打たれる。エラーが失点につながる。ヒットは出るのに打線がつながらない。果敢な走塁が裏目に出てアウトになる。3回以降は攻守の悪循環を断ち切れず完全な「負けパターン」(塗木監督)の展開だった。
今年も夏はベスト8より先には進めないのかと思われたが、今年の鹿児島大島ナインは一味違った。
失点はしても、次走者をアウトにとり、1イニング1点以上の失点を許さなかった。何より「誰1人気持ちで負けている選手がいなかった」と武田主将。この試合のベンチリーダーは18番の青木蓮(3年)だったが「自分がリーダーの試合で負けたくなかった。良い声を出してベンチを盛り上げた」という。
ベンチの2ケタ背番号の選手は流れを変えるのが仕事。中盤の悪い流れを、6回に代打で出た体岡大地(2年)や青木がヒットを放って断ち切った。「打撃好調だったので自分に絶対回ってこいと念じていた」(青木)。
2点差を追いかける9回、先頭の大野が中飛で倒れた後、全員がつないで逆転した姿はまさに「大野を打って助ける」(青木)野球だった。8番・美島は「意外性の男」(塗木監督)が持ち味。今大会打撃好調で、この試合では4回の守備で身体を痛めても懸命に守り、打席で粘る姿があった。そんな美島が最後に締めくくりの適時打を放ったのは、もはや「意外」ではなかった。
(取材=政 純一郎)