都立日野台vs武蔵
中学校の軟式野球部で都大会ベスト4のエース林が完投、主将・森が決勝打
〈第104回全国高校野球選手権西東京大会:都立日野台7-2私立武蔵〉♢13日♢2回戦♢[stadium]府中市民[/stadium]
日野台の先発は林 慈央(3年)。初回は、先頭を三振に切るも、暴投と安打2つを許し2点を先制される苦しい立ち上がりとなった。それでも3回裏に先頭の主将である9番・森 優人(3年)が死球で出塁し、1番・牧 瞬平(3年)が中前打で繋ぐと、2番・関根 涼星(3年)が絶妙な犠打を決め、3番・柏木 幸聖(3年)が2点適時打を放ち、序盤に味方がすぐさま同点に追いついてくれた。
試合は中盤まで互いに譲らぬ投手戦になりつつあった。日野台の先発・林が2回以降調子を上げ、走者を出すも粘って点を与えず、味方の逆転を信じて我慢の投球が続いていた。
7回裏、日野台に絶好の好機が訪れた。四球と内野安打で1死一、二塁とすると8番・近藤が犠打を決め、2死二、三塁。打席には主将の森。「この一球を絶対に仕留める」強い気持ちで打席に入った。その思いがバットに乗り移った。左中間を超す2点適時打。これが決勝打となり日野台がついに均衡を破った。
実は日野台のエース・林と主将・森は、お互いに自宅も近く小学2年生から一緒に野球をやってきた。中学生の時に軟式野球部でともに東京都大会ベスト4まで上り詰めた経験もある。その2人が主役となった試合だった。初回の林の投球をみて森は「最初、大丈夫かなと思いでした。それでも、その後立て直してロースコアにもちこんでくれて、さすがエースだなと思った」と話し、決勝打を打ってくれた森について林は「三塁走者として出ていてここで打ってくれると信じていました。投手として心強かった」と互いに照れくさそうに称えあった。
敗れた私立武蔵の先発・小村 旺輔(3年)は「高校野球はやり切りました」と言い、次は「東大で野球をやりたい」と東大で勝てる投手を目指して、またここから鍛錬を積み上げていく予定だ。
日野台の次戦は早稲田実業との一戦。春に負けて悔しさを味わった。エース・林は「自分たちの力をフルに出せれば勝てない相手じゃない」と一言。勢いに乗った日野台が屈辱を果たすべく、第三シード校に立ち向かう。
(取材=編集部)