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出てくるだけでワクワクする、周東のあの快足が再び

2022.11.10

出てくるだけでワクワクする、周東のあの快足が再び | 高校野球ドットコム
周東 佑京

 覚えている人は多いだろう。この男のスピードは1度見ると忘れられない。

 2019年11月に行われた「第2回WBSCプレミア12」で、侍ジャパンこと野球日本代表はスーパーラウンド初戦のオーストラリア戦で逆転勝利した。ソフトバンク・周東 佑京内野手(東農大二出身)が快足を飛ばして、ダイヤモンドを駆け巡り同点劇を生んだことが大きな勝因だった。その「快足」は、もはや伝説の域に達している。

 1点を追う7回、一塁走者の代走として出場した周東が二塁へ盗塁。すると、三盗にも成功する。そして西武・源田 壮亮内野手(大分商出身)のセーフティーバントでホームイン。まさに周東の足で稼いだ同点劇だった。周東の足が世界デビューした瞬間でもあった。

 ソフトバンク担当記者時代、周東の走塁を極意をいろいろと取材させてもらった。彼のこだわりのひとつに盗塁時のスタートがある。

 二塁への盗塁の時は「いつでも一塁に戻れるように」心がけるという。だから、リードした時に両手は両膝につけて帰塁と盗塁とどちらでもスタートが切れるように準備している。三塁への盗塁はちょっと違う。「二塁と三塁を結ぶラインのやや後ろにいて、ゆっくりと前に進みながらその動きの流れでスタートを切る。もしくは両手をだらっと下げてまったく走らないそぶりからスタートを切るか」。その2種類を使い分けているという。プレミアの時は後者のパターンだった。見た目では、ぼーっと立っているだけの雰囲気から、まさに「忍者」のようにスタートを切って三塁を陥れた。周東のスピードはトップスピードに至るまで恐ろしく速いことに由来していると思っている。

 当時の稲葉監督は「必要なピース」と俊足という理由で周東を日の丸戦士に選び、その狙いを成功させた。今回、栗山ジャパンでも、周東は選ばれた。当然、終盤の大事な場面で足を使って攻撃するための戦力として期待されている。

 9日、栗山ジャパンの初の外国との試合が行われた。相手はあのオーストラリアだ。6回に一塁代走で出場し、二盗を成功させると、ヤクルト・山田哲人内野手(履正社出身)の左前打で本塁へ生還した。あの時のように緊迫した場面ではなかったが、「試運転」としては上々の結果だった。

 塁上にいるだけで球場全体がざわつく選手はそういない。1点が欲しい時に頼りになるのは1発のある打者だけではない。侍ジャパンには足で1点をもぎ取れる男がいることを忘れてほしくない。

(記事=浦田由紀夫)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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