U-15代表、184センチの長身左腕など 横浜、福岡大大濠などに進学した期待の逸材たち
春季高校野球福岡大会は、福岡大大濠が5季ぶりの優勝を果たし幕を閉じた。また準優勝の西日本短大附も、九州大会では福岡大大濠と共にベスト4に進出するなど力を見せ、夏の熱戦を期待させる結果となった。今回はそんな福岡県にちなんだ話題を紹介する。
今年もルーキーの活躍が各地で聞かれるが、福岡在住ライター一押しの「福岡県出身の注目1年生選手」を見ていく。中学時代に頭角を現し、中には県外の強豪校へ進んだ選手もいるが、どの選手も将来有望株として期待される存在だ。
北九州市立田原中学校・中野悠斗投手
北九州市立田原中学校・中野悠斗投手
北九州市小倉南区にある北九州市立田原中学校。強豪私立中学のように選手を集めているわけではない、言わば普通の公立中学校だが、突如、快速サウスポーが現れたと、高校野球関係者の間で話題になった。
中野 悠斗(なかの・ゆうと)投手は、184センチ、66キロと投手らしいすらりとした体型から、キレのある球を投げ込み、その将来性の高さに多くのスカウトが唸った。最後の夏は小倉南区大会で敗れ、チームとして実績を残すことはできなかったが、引退後も地道に練習を続け、球速は130キロ超まで伸びている。
「高校野球ではまずはベンチ入りを目指し、少しでもチームに貢献できるように頑張りたい」と意気込みを語る中野。
高校は福岡大大濠へと進学した。山下 舜平大投手(オリックス)や三浦 銀二投手(DeNA)など、軟式出身投手を多くプロに送り出しているチームだけに、まずは体をしっかり作って大きく成長してほしい。
北九ベースボールクラブ・藤川敦也投手
北九ベースボールクラブ・藤川敦也投手
ヤングリーグでは、北九ベースボールクラブの藤川 敦也(ふじかわ・あつや)投手の存在感が一際目立っていた。180センチ、80キロとガッチリした体格から、力強い直球を投げ込み、フォームバランスの良さに惚れ惚れした。
2022年7月時点で、すでに最速は137キロを記録し、カーブ、フォークといった変化球の精度も高い。高校野球では早くから登板機会が与えられるのではないだろうか。
藤川は、宮崎県の強豪・延岡学園へ進学した。宮崎の地でどんな投球を見せるのか見逃せない。
筥崎ジンジャーズ・渡邊琉斗内野手
筥崎ジンジャーズ・渡邊琉斗内野手
日本三大八幡であり、勝運の神様が祀られていることでも有名な福岡市東区の筥崎宮。その、参道沿いにあるグラウンドで練習しているのが筥崎ジンジャーズだ。
個性的なチーム名で、実に縁起の良い場所で活動を行っていることに驚きだが、昨年この筥崎ジンジャーズからU-15日本代表選手が誕生した。
その選手が渡邊 琉斗(わたなべ・りゅうと)内野手だ。
日本人の父と、ルーマニア出身の母の間から生まれた。直前の強化合宿で足を痛め、日本代表として参加したU-15 ワールドカップでの出場はなかったが、アクロバティックな守備に豪快な打撃に加え、投げては135キロを記録する高い身体能力を武器に注目を集めた。
「高校野球では1年生から試合に出て活躍して、高卒でプロにいけるように頑張りたい」と意気込みを語る。U-15ワールドカップでは、滞在先のメキシコでコロナに感染し、1ヵ月以上現地で隔離される不幸に見舞われたが、「良い経験になった」と前向きに捉える。
進路選択の際には、福岡県内に留まらず全国各地の名門校から勧誘を受けたが、「地元で活躍したい」と東福岡高校へ進学した。福岡を盛り上げる存在となるか注目だ。
飯塚ボーイズ・今村稀翠内野手
飯塚ボーイズ・今村稀翠内野手
ボーイズリーグでは、飯塚ボーイズのヒットメーカー・今村 稀翠(いまむら・きすい)内野手の打撃センスに目を奪われた。
スイングが「インサイドアウト」の軌道で、緩急のゆさぶりにもしっかりとついていく。コースに逆らわず広角に鋭い当たりを連発し、ここぞの場面では一発長打を放つパワーも併せ持つ。
九州選抜として出場した鶴岡一人記念大会でも頭一つ抜けた打撃センスを披露し、本塁打を放つなど活躍した。
高校は神奈川県の名門・横浜高校へ進学したが、「村田監督のもとなら、野球はもちろん、人間的にも成長できると感じた」とその理由を語る。
守備面では課題を口にするが、春季大会では背番号23でベンチ入りを果たすなど期待の高さも伝わってくる。今後の成長にも注目していきたい
(記事=栗崎 祐太朗)