甲子園優勝投手のプロ入り後の活躍度を分析
高校野球界では多くの地域で今夏の甲子園に向けた予選が始まるが、球児は最終的に甲子園優勝を目指して戦いをスタートさせる。
その甲子園で見事に優勝投手となり、プロ入り後も活躍している選手は多い。
2001年夏に日大三(西東京)を優勝に導いた近藤一樹投手は、オリックス時代の2008年に2ケタ勝利を記録し、クライマックスシリーズ進出に貢献。キャリア晩年は中継ぎとしてフル回転の活躍を見せ、プロで19年間プレーした。
強いインパクトこそないが、プロ入り後は細く長く投げたと言ってもいい。
2004年春に済美(愛媛)を優勝に導いたのは福井優也投手だ。プロ入り後、2ケタ勝利は記録することができず、現在は福島レッドホープスに所属している。それでも、広島時代はルーキーイヤーの2011年と5年目の2015年は、先発ローテーションの一角を担っていた。
2005年夏に駒大苫小牧(南北海道)を2連覇に導いた田中 将大投手(現・楽天)は、プロ入り後、説明不要なぐらいの活躍ぶりを見せている。
その中でも、2013年の24勝0敗、勝率1.000、防御率1.27は、「アンタッチャブルレコード」である。
翌年、その田中に投げ勝ち、早稲田実業(西東京)のエースとして優勝に貢献したのが、元日本ハムの斎藤 佑樹投手。プロ入り後は、故障に苦しみ、活躍できないまま引退した。しかし、大学時代までの活躍があったからこそ、当時「佑ちゃん世代」と言われた1988年世代の他の選手も、刺激を貰って今も活躍できている選手は多いのではないだろうか。
2008年春に沖縄尚学(沖縄)を優勝に導いた東浜 巨投手(現・ソフトバンク)は、プロ入り後に活躍を見せている。高校卒業後、亜細亜大からプロ入り。2017年に最多勝を獲得し、リーグ優勝と日本一に貢献した。その後も、2020年は短縮シーズンながらも9勝、昨シーズンはノーヒットノーランを達成し、2ケタ勝利を記録している。
2010年に興南(沖縄)を春夏連覇に導いた島袋 洋奨投手(元ソフトバンク、現・興南コーチ)は、斎藤と同様にプロ入り後は苦しんだ。プロ入り前にも大学時代に故障やイップスにより、大学3年以降は調子を崩したシーズンがあるなど、苦しい現役野球人生だったかもしれない。
2012年に大阪桐蔭(大阪)を春夏連覇に導いた藤浪 晋太郎投手(アスレチックス)も活躍した1人だ。近年の成績を見ると、物足りなさこそ感じるが、高卒1年目から3年連続2ケタ勝利や、最多奪三振を獲得するなど、文句なしのタイトルホルダーでもある。
2013年春に浦和学院(埼玉)を優勝に導いた小島 和哉投手(現・ロッテ)と、同年夏に前橋育英(群馬)を優勝に導いた髙橋 光成投手(現・西武)も、現在活躍を見せている。髙橋は、現在パ・リーグ防御率トップを走り、初のタイトル獲得に向かっている。
2015年夏に東海大相模(神奈川)を優勝に導いた小笠原 慎之介投手(現・中日)は、昨シーズン2ケタ勝利を記録し、今シーズンは開幕投手を務めた。今シーズンも中日の先発陣を引っ張っている。
2016年春に智辯学園(奈良)を優勝に導いた村上 頌樹投手(現・阪神)は、今シーズン開幕から31回連続イニング無失点を記録し、月間MVPにも輝いた。また、プロ野球史上初となる、「無四球&2ケタ奪三振完封」でのプロ入り初勝利を飾っている。
2016年夏に作新学院(栃木)を優勝に導いた今井 達也投手(現・西武)は、今シーズンは苦しんでいるものの、2021年には8勝をマークするなど、髙橋に次ぐ投手として期待されている。
2017年夏に花咲徳栄(埼玉)を優勝に導いた清水 達也投手(現・中日)は、昨シーズンから高校時代に任されていたリリーフとして活躍を見せている。
2018年春夏連覇の優勝投手である根尾 昂投手(現・中日)と柿木 蓮投手(現・日本ハム)は、今シーズンまで苦しんでいる場面は多いが、チームからは成長を期待されている。当時、先発を任されていた横川 凱投手(現・巨人)は、現在、先発ローテーションから中継ぎまでフル回転の活躍を見せている。
21世紀の甲子園優勝投手はプロ入り後、2ケタ勝利を記録する投手から、リリーフの一角として活躍する投手、タイトルホルダーまでいる。高校時代の投げすぎで、あまり活躍をしていないイメージもあるが、相対的に見ると、活躍をしている割合は高いのではないだろうか。また、ほぼ1人で投げ抜いて優勝投手になっていることもあってか地力を感じる部分もあり、性格的にもプロ向きなことはあるのだろう。
(記事=ゴジキ)