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神村学園、鹿児島城西など軸に上位混戦模様、「番狂わせ」があるか?

2023.06.28


神村学園

 第105回全国高校野球選手権記念鹿児島大会は7月1日に開幕する。鹿児島市の平和リース、鴨池市民の両球場で3回戦までは連日開催。準々決勝以降は平和リースを使用し、準々決勝は16、17日、準決勝は21日、休養日を設けて23日に決勝の日程で開催される(※雨天順延)。

 今大会の出場チームは5つの連合を含む73校64チーム。昨秋と5月のNHK旗を制した神村学園が第1シードとなり、春優勝の鹿児島城西が第2シード、以下、鹿屋中央樟南鹿児島実枕崎国分中央出水中央がシード校となった。

 この1年間の県大会を振り返ると神村学園鹿児島城西の2強を軸に、鹿屋中央樟南鹿児島実といった上位シード校が安定して上位に食い込んで優勝争いをしている。シード校の序盤での敗退がなく、近年まれに見る「波乱」の少なかった1年だったが、夏も同じようになるとは限らない。

 下位シードでも、あるいはノーシードでも大会期間中に力をつけて「番狂わせ」を起こす可能性はどのチームも秘めている。シード校の初戦、または序盤での対戦で、好勝負となりそうな組み合わせでもある。声出し応援も解禁となり、「いつも通りの夏」が戻ってきた第105回の記念大会を制するのはどのチームか? 組み合わせ各パートに見どころを探ってみた。

【神村学園―出水中央】

 第1シード神村学園の優位は揺るがないところか。春の県大会は準々決勝で樟南に延長12回で逆転サヨナラ負けを喫した悔しさをバネに「勝ちにこだわる」(小田 大介監督)野球を再確認。NHK旗では鹿児島城西鹿児島実樟南とこの1年間で苦杯を味わったチームにことごとく競り勝って優勝し、第1シードの座をつかんだ。リードオフマンで主将の今岡 歩夢内野手(3年)がけん引する打線は勝負強く、エース松永 優斗投手(3年)ら投手陣も豊富。4年ぶりの甲子園への思いは強い。第8シードの出水中央德田 怜雅内野手(3年)、齋藤 凌内野手(3年)ら昨夏を経験したメンバーを中心に高い攻撃力を秘める。打力に定評のある大隅の雄・尚志館との対戦は注目の好カード。甲子園経験のある鹿児島工加治木川内志布志の県立勢の奮起なるか?

【樟南―鹿児島実】

 樟南鹿児島実鹿児島商と、鹿児島の「御三家」が名を連ねる注目パート。春、NHK旗と2大会連続準優勝の第4シード樟南は打線に例年以上の力強さがある。茶園 将太外野手(3年)、畝地 竣己内野手(3年)、坂口 優志内野手(2年)、小峰 康矢投手(3年)ら一発長打を秘めた打者が並ぶ。昨夏準優勝・大島との初戦が見逃せない。川内商工鹿屋農鹿児島なども上位を狙える力は秘めている。昨夏を制した鹿児島実も夏に向けてチーム力を上げてきている。課題に挙げられた投手陣も西 悠太朗投手、菅田 空来投手ら2年生が力をつけてきた。昨夏甲子園を経験した植戸 颯大外野手(3年)ら打線の奮起で投手陣を盛り上げたい。鹿児島商大島を甲子園に導いた塗木 哲哉監督が4月から就任。古豪をどう導くか、注目したい。

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鹿児島城西

【枕崎―鹿屋中央】

 第3シード鹿屋中央は戦力が充実している。左腕・郡山 一心投手(3年)、右腕・村山 源投手(3年)ら経験豊富な投手陣がそろい、村山、大坂 塁外野手、大谷 修司外野手ら力のある3年生打者が盛り上げ、9年ぶりの夏甲子園を照準に定める。好左腕・新藤 颯大投手(2年)を擁する伊集院との初戦に注目したい。第6シード枕崎は伝統の投手力、守備力に加え、4番で主将の田原 千風外野手(3年)を中心に攻撃力も例年以上のものを発揮しつつある。このブロックには秋春連続8強入りの徳之島、屈指の好投手・川畑 陽介投手(3年)を擁する鹿児島玉龍、地力のある鹿児島情報鶴丸などが名を連ねており、どのチームも序盤戦から気の抜けない戦いとなり、どこが8強に勝ち上がってもおかしくない展開になりそう。

【国分中央―鹿児島城西】

 悲願の初優勝を目指す第2シード鹿児島城西が戦力的には1歩抜けた存在である。プロ注目のスラッガー・明瀬 諒介内野手(3年)をはじめ、主将の黒川 虎大郎捕手(3年)、池野 航太外野手(3年)ら、昨年からのレギュラー経験者が豊富に残る。投手陣は安定感のある芦谷原 睦投手(3年)が先発の柱となり、リリーフに140キロ超の球威を持つ明瀬が控え、多彩な継投パターンがある。初戦で当たる加治木工鹿児島南武岡台鹿屋工などが「番狂わせ」を起こせるか? 第7シード国分中央は昨夏も4強入りするなど、公立勢の中では安定感が光る。投打にバランスの取れたチームに仕上がりつつあり、甲子園を目指す姿勢にブレはない。地力のあるれいめいもシード校に匹敵する力を持っている。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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