現役ドラフトの入団選手を考察
高校時代の大竹 耕太郎(済々黌出身)
昨年オフ、現役ドラフトが初めて開催され、移籍した選手が今季活躍している。
DeNAから中日に移籍した細川 成也外野手(明秀日立出身)は、打率でリーグ3位の.319を記録し、10本塁打と42打点は既にキャリアハイ。本塁打と打点は前年までの通算6本と19打点を、今シーズンだけで超える成績を残している。
さらに、5月に関しては25試合、打率.360、安打36、本塁打5、打点17を記録し、月間MVPを獲得した。
細川自身は、「ドラゴンズに来て、キャンプで和田さん(打撃コーチ)に指導いただいてからです。テニスを打つ練習などにも取り組みましたが、あれも間を取る練習です。そういった一つ一つの練習が少しずつ、身になってきたのだと思います」とコメント。和田一浩氏の指導がマッチした要因も大きいだろう。
中日自体、球場の特性の影響もあり、打者が育ちづらい傾向にある。そのため、この細川をはじめとした選手たちの飛躍が、今後のチームを左右すると言っても過言ではない。
ソフトバンクから阪神に移籍した大竹 耕太郎投手(済々黌出身)も飛躍を遂げている。
大竹はソフトバンク時代の2018年に3勝、2019年に5勝、2020年に2勝を挙げたが、投手陣の層の厚さの影響もあり、出番がないまま数年が過ぎていた。しかし、昨シーズンオフの現役ドラフトで阪神に入団。登板機会を得ることができた。
ここまで防御率1点台で、キャリアハイとなる6勝を記録。K/BBは7.67とこれまでのキャリアを見ても、圧倒的な成績を残している。現在は、村上 頌樹投手(智辯学園出身)や才木 浩人投手(須磨翔風出身)と並んで先発ローテーションを引っ張っている。
5月には4登板、3勝0敗、防御率0.33を記録し、5月の月間MVPを獲得した。細川とともに、この月のセ・リーグの月間MVPは、現役ドラフトの該当選手が獲得したことになる。
阪神移籍後は、坂本 誠志郎捕手(履正社出身)とバッテリーを組むことにより、さらにいいところが引き出されているだろう。大竹は、「(東京)六大学のときから良いキャッチャーだと思って対戦していましたし、1イニング1イニング、丁寧にコミュニケーションを取れて投げられた。すごく頼もしい存在です」とコメント。信頼を寄せているのがわかる。
阪神はソフトバンクから移籍してきた加治屋 蓮投手(宮崎福島高出身)やロベルト・スアレス投手も復活させている。2010年代後半のソフトバンクは、多くの優秀な投手を抱えていたが、阪神がうまく生かしたのも大きな要因だ。現在、優勝争いをしている阪神には、夏場以降に向けて大竹の活躍が必要不可欠だ。
楽天から巨人に移籍したオコエ 瑠偉外野手(関東一出身)は開幕スタメンを勝ち取った。好不調の波はあるものの、開幕直後は坂本 勇人内野手(光星学院出身)や丸 佳浩外野手(千葉経大附出身)が不調の中で、チームを引っ張っていった。
守備でもルイス・ブリンソン外野手がいる中で、センターに一時的に定着した。ブリンソンが2軍に降格後も、センターを守っている。打撃面の課題は多いが、いい時は期待させるものがある。
体型は以前よりも大きくなったが、脚力や守備範囲は巨人の野手では上位に入る点からも、打力さえ身に付けばチームに欠かせない選手になっていくだろう。
現役ドラフトは選手に活躍の場を設ける意味では今後も必要とされるだろう。これまではトレードが主流だったが、オフに現役ドラフトをすることで、素材型で燻っていた選手が一気に大成する可能性は高い。昨シーズンオフから始まった現役ドラフト。今後も新天地で活躍する選手を発掘する場として注目していきたい。
(文=ゴジキ)