Column

原巨人期待の若手と逆転優勝の鍵は?

2023.07.01


秋広 優人(巨人)

秋広 優人

チームの主軸になりつつある秋広優人

 3年ぶりのセ・リーグV奪回を狙う巨人の野手陣は、開幕からリーグトップクラスの成績を残している。

 岡本 和真内野手(智辯学園出身)が本塁打ランキングでトップを走り、打点は2位、打率は4位を記録している。チームで見ても79本塁打は12球団でみてもダントツだ。

 その中で今シーズンは、高卒3年目の秋広 優人内野手(二松学舎大附出身)が一気に台頭し、今ではクリーンアップを任されるほどになっている。

 特徴としては、入団時から注目度が高かった身長2メートルという大きさと、豪快な打撃、そして器用さが挙げられる。その期待も込めて、松井 秀喜氏が背負っていた、背番号55をつけるなど、球団側の期待値が高いことがわかる。

月間成績は下記の通り。

4月:打率.421 1本塁打 4打点 OPS1.184

5月:打率.307 3本塁打 12打点 OPS.795

6月:打率.302 0本塁打 3打点 OPS.700

 この成績を見ても、高卒3年目とは思えない活躍を見せている。巨人は、グレゴリー・ポランコと昨年オフに契約を結ばなかったことから、今シーズンは丸 佳浩外野手(千葉経大附出身)と大城 卓三捕手(東海大相模)以外の左打者の長打力不足に悩まされていた。その点でも、秋広が大きくカバーしていると言っても過言ではない。

 また、打撃面はもちろんのこと、守備面でも一塁手から外野手(左翼手、右翼手)を守るなど、チーム事情にも応えている。特別、守備が上手いというわけではないが、内外野を守ることにより、バリエーションを豊かにしていることがわかる。

 今季、高卒3年目の秋広だが、これまでの巨人を支えてきたスター選手の松井秀喜坂本 勇人内野手(光星学院出身)は、高卒3年目までに結果を残している。

 2選手の高卒3年目の成績は下記の通り。

松井 秀喜:打率.283 22本塁打 80打点 OPS.845

坂本 勇人:打率.306 18本塁打 62打点 OPS.823

 これらの選手以外でも、現在チームの主砲として活躍している岡本は、4年目で打率.309 33本塁打、100打点、OPS.935を記録し、プロ野球史上最年少となる22歳で「3割・30本塁打・100打点」を達成した。

 これまでの高卒スター選手を見ても、秋広は岡本に並ぶスラッガータイプの選手として期待していきたいところだ。

坂本勇人が離脱、逆転優勝への鍵は「長打」

 交流戦では3位と大健闘した巨人だが、チームを支えていた大黒柱の坂本が6月23日の広島戦で太もも裏を痛め、登録を抹消された。

 その後、巨人は、24日、25日と連敗を喫した。いずれもロースコアのゲームだが、今シーズンの巨人はロースコアゲームに弱い。

 打撃戦での接戦は持ち前の打力で相手チームより分があるが、ロースコアの接戦では、苦しんでいる。交流戦前の阪神との3連戦や、交流戦の楽天との最後の2試合はもちろんのこと、ロースコアゲームの弱さが顕著に表れた。

 ロースコアゲームでは、連打での適時打で得点を積み重ねていくのは難しいため、勝利するには長打力が必要だ。両リーグトップの本塁打数を誇る巨人だが、ロースコアの試合では、なかなか持ち前の長打力を生かしきれないでいる。

 特に、今シーズン本塁打数で1位を走る岡本は、成績以上に勝負弱さが露呈しているため、今後はいい場面で打てるかが重要になる。

 中田 翔内野手(大阪桐蔭出身)もケガから復帰後は長打があまり出ていないのも気がかりだ。中田の調子を考えると、東京ドームや神宮球場、横浜スタジアムなどの比較的狭い球場では、丸をセンターにし、アダム・ウォーカー外野手を出場させるのもいいだろう。また、ルイス・ブリンソン外野手も上手く生かしていくことも、今後の鍵になっていきそうだ。

 全体的に、疲れも見え始める時期だが、巨人打線の長打力は相手チームから見ると、脅威なのは間違いない。プレッシャーをかけながらロースコアゲームも勝ち切りたいところである。

(数字は6月26日終了時)

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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