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【宮城大会展望】夏の甲子園連覇を狙う仙台育英が大本命 私立、公立ともに対抗馬もズラリ

2023.07.04


ハッブス 大起(東北)・高橋 煌稀(仙台育英)

 第105回全国高校野球選手権宮城大会は、7月7日に開幕する。昨夏の甲子園で東北勢初優勝を成し遂げた仙台育英を中心に、今年も甲子園出場切符をかけた熱戦が繰り広げられる。6月26日に確定したトーナメントをもとに、今大会を展望した。

優勝候補筆頭はやはり仙台育英

 昨夏の甲子園優勝メンバーが多く残る仙台育英は、新チームになってから昨秋は東北大会優勝、明治神宮大会4強、今春はセンバツ8強、東北大会準優勝と安定した成績を残してきた。圧倒的な戦力を擁し、今大会も優勝候補の大本命となることは間違いない。

 特に投手陣は昨夏以上に凄みを増しており、高橋 煌稀投手(3年)、湯田 統真投手(3年)、仁田 陽翔投手(3年)は、今春の東北大会でいずれも150キロ以上を計測した。試合をつくれる左腕・田中 優飛投手(3年)の存在も大きく、武藤 陽世投手(2年)、佐々木 広太郎投手(2年)ら下級生も台頭してきていることから、対戦チームは簡単には本塁を踏ませてもらえそうにない。

 野手陣も経験豊富で、主将の山田 脩也内野手(3年)、正捕手の尾形 樹人捕手(3年)らを中心に強力打線を形成する。下級生ながら中軸に座る湯浅 桜翼内野手(2年)、鈴木 拓斗外野手(2年)は攻撃のキーマンとなりそうだ。

 今大会は初戦で大崎中央名取北の勝者と対戦する。鬼門となりそうなのは準々決勝で、昨秋の県大会決勝で敗れた相手である東北と当たる可能性がある。東北学院東北学院榴ケ岡なども名を連ねており、激戦の山。2年前には4回戦で仙台商に敗戦した過去があり、昨夏も決して楽な勝ち上がりではなかった。再び頂点に立つためには、強敵たちを迎え撃つ必要がある。

「打倒・仙台育英」実現はあるか

 「打倒・仙台育英」の最右翼は東北。元巨人・佐藤 洋監督を迎えて臨んだ昨秋は県大会優勝、東北大会準優勝と奮闘し、12年ぶりのセンバツ出場を果たした。今春は県8強止まりだったものの、ハッブス 大起投手(3年)を柱に据える投手陣は強力だ。仙台育英と当たる可能性のある準々決勝を見据え、まずは連勝で勢いに乗りたい。

 今春の県大会で東北を破った仙台商は、そのまま準優勝まで駆け上がった。エース右腕の阿波 壮汰投手(3年)が高い完投能力を持つ一方、アンダースローの大友 光晴投手(2年)らを交えた継投でも勝てるチームで、試合巧者ぶりが際立つ。準決勝までに古川学園日本ウェルネス宮城聖和学園など私立の実力校と当たる可能性のあるハイレベルな山に入ったが、勝ち上がれるポテンシャルと経験値は十分に兼ね備えている。

 近年上位に食い込んできている古川学園日本ウェルネス宮城は今夏も楽しみな存在。古川学園今野 一成投手(3年)、日本ウェルネス宮城大内 誠弥投手(3年)は全国の舞台でも通用しそうな注目の速球派右腕だ。聖和学園は昨夏の県大会で準優勝しており、この大会で5割を超える打率をマークした三浦 広大外野手(2年)が引っ張る打線に期待がかかる。

 今春県3位だった仙台一の入る山には公立の有力校がズラリと並ぶ。仙台一は昨夏の県大会では初戦でコールド負けを喫しているだけに、雪辱を果たしたい。利府は昨秋県3位で、東北大会では聖光学院(福島)に敗れるも善戦。小酒井 凱人投手(3年)、曽我 颯人投手(3年)の右腕2人は特に力がある。同じく好投手を擁する柴田佐沼にも注目だ。

 昨夏県4強の仙台南と昨秋県4強の仙台三は初戦でぶつかる。ともに近年成長著しい公立校で、今大会の1回戦の中では屈指の好カードだ。この山では今春県4強の東陵も登場。その東陵が初戦で対戦する東北生文大高も実力校で、展開の読めない試合の多い山となるだろう。

 夏の甲子園連覇を狙う仙台育英に注目が集まりがちだが、王者を脅かしうる高校が多数存在するのも事実。今年はどんなドラマが生まれるか―。66校62チームの夏はまもなく始まる。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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