徳島商vs徳島城東
城東戦の9回表に自己最速149キロを叩き出して1失点完投勝利の徳島商・森煌誠(3年主将)
徳島商右腕・森 煌誠が覚醒の149キロでセンバツ21世紀枠・城東を撃破!
<第105回全国高校野球選手権徳島大会:徳島商4ー1徳島城東> ♢17日♢2回戦♢オロナミンC
惜しくも敗れた21世紀枠センバツ出場校・城東について触れたい。試合後、新治 良佑監督は「センバツの後、謙虚に野球をすることを夏に表現できなかった。申し訳ない」と涙を流した。
しかし、この試合でも二塁送球1.9秒台を出し続け、140キロ超の直球に全く振り負けず2安打した主将・森本 凱斗捕手(3年)や、4回2死二、三塁から146キロ直球を見事に中前に弾き返して同点とした8番・谷口 昊汰朗内野手(2年)、センバツ・東海大菅生(東京)戦を彷彿させる堂々とした投球を見せた岡 一成投手(2年)、高校最後のゲームでも最速141キロを出し四国でも屈指の右腕であることを改めて印象付けた清重 登揮投手(3年)。
そして「城東の生徒の中で一番青春ができました」と最後には爽やかな笑顔を見せた永野 悠菜マネージャー(3年)をはじめ、全員が全国に出しても恥ずかしくないパフォーマンスを見せてくれた。これから道は分かれても、部員たちにはこの1年で得た経験を決して忘れず、次のステージで展開してほしい。
その城東を凌駕した徳島商の戦いは見事の一語だった。序盤から低めの際どい変化球を見極め続け、8回1死一、二塁から4番・吉田 大馳内野手(2年)の2点適時三塁打などで一挙に突き放した打線も素晴らしかったが、何といっても圧巻だったのは118球2安打13奪三振2四死球完封勝利を挙げた1回戦・小松島戦に続く完投勝利をマークした主将・エースの森 煌誠投手(3年)である。
136球を投じたにもかかわらず9回最終打者に自己最速となる149キロをマークしたスタミナもさることながら、特筆すべきは「小松島戦の終盤からコツをつかんだ」出力の操作。ピンチの場面では140キロ中盤の直球で押しつつ、要所では130キロ前後のスプリットと120キロ前半のスライダー、110キロ中盤のカーブを巧みに配球。この試合でも10三振3四死球と狙って三振が獲れるようになってきた。
夏までは森へ多くの𠮟咤激励を寄せていた徳島商・森影 浩章監督も「覚悟が決まってまた一段レベルを上げた」とこの日の内容を高評価。「今は球の質が良くないので、社会人か大学に行って上位で指名されるようにしたい」と高卒時点ではプロ志望届を出さないことを決めた徳島商のナンバー「1」は。チームを12年ぶり24回目の夏甲子園に導くため、さらなる進化を目指す。