試合レポート

【埼玉】5回戦 花咲徳栄 vs 叡明

2023.07.24


小野勝利選手(花咲徳栄)

<第105回全国高校野球選手権埼玉大会:花咲徳栄12-0叡明(5回コールド)>◇23日◇5回戦◇UDトラックス上尾スタジアム

炎天下の日曜日、上尾市民球場の第1試合は優勝候補・花咲徳栄vs前の試合で上尾を倒した叡明という対決となった。

先発は花咲徳栄がエースの木田 康介投手(3年)が今大会初先発、一方の叡明は背番号10の小松崎 勇真投手(3年)が登板し試合が始まる。

先制したのは花咲徳栄であった。

花咲徳栄は初回、先頭の田中 辰空内野手(3年)が死球で出塁すると、続く生田目 奏外野手(2年)も三塁への内野安打を放ち無死一、二塁とする。3番・石塚 裕惺内野手(2年)がきっちりと送り1死二、三塁とする。ここで4番・小野 勝利内野手(3年)が左前適時打を放ち幸先良く2点を先制する。

これで流れをつかんだ花咲徳栄は、3回にもこの回からマウンドに上がった叡明の2番手・野中 颯人投手(3年)に対し、1死から2番・生田目が右翼席へソロ本塁打を放つと、続く石塚も四球を選ぶとすぐさま二盗を決める。4番・小野も四球を選び1死一、二塁とすると、さらに暴投で1死二、三塁とチャンスが広がる。ここで5番・増田 空内野手(3年)がきっちりと犠飛を放ち4点差とする。

この回4点では終わらず、さらに、6番・齊藤 海外野手(3年)が死球で出塁し2死一、二塁とすると、続く柴田 樹捕手(3年)が左翼線へ適時二塁打を放ち5点目、さらに続く木田の遊ゴロが相手エラーを誘いさらに2点を追加するなど、この回一挙5点を奪うビッグイニングを作り、7点差とし早くも試合の大勢は決した。

花咲徳栄はその後も攻撃の手を緩めず、4回にもこの回先頭の生田目が遊撃へ内野安打を放つと、続く石塚も左前安打を放ち無死一、二塁とする。ここで4番・小野が左翼線へ適時打を放ちまず1点、続く増田が四球を選び無死満塁とすると、6番・齋藤が左前2点適時打を放ち10点差をつける。攻撃は終わらず、続く柴田がきっちりと送ると、8番・木田の犠飛と、続く目黒 亜門外野手(2年)の適時打などでさらに5点を追加し12対0とコールドペースへ持ち込む。

投げては花咲徳栄のエース木田が4回無失点に抑えると、最終回も上原 堆我投手(2年)がきっちりと無失点で切り抜ける。

結局、花咲徳栄が5回コールド12対0で下しベスト8進出を決めた。

叡明はこの日は完敗だった。特に、2番手として登板した野中が誤算だった。とはいえ、野中は1つ上の世代からエースとして登板していた投手。確かにエース大木もすぐ行けるようスタンバイしており、展開的にこういう試合では早めの継投が必須であるが、9イニングということを考えると1イニング途中での継投は考えづらい。結果、次のイニングで大木も捉えられており致し方ないところであろう。幸いスタメンの半数が1、2年生。この日は遊撃手でやや精彩を欠いたが、前の試合上尾戦で好投した1年生・田口 遼平内野手など秋以降の巻き返しに期待したい。

一方の花咲徳栄は、元巨人の小野剛の息子で横浜高(神奈川)から転入してきた新戦力の小野が4番に座る新打線は春時点と比べまた一回りパワーアップ。昨夏1番で7割近い打率の齋藤が現在6番、昨夏4番の柴田が現在7番を打つ豪華な布陣となった。

「相手投手に対しては低い球を振るなと伝えて入った。木田は前の試合、あまり良くなかったので修正をして戻ってきた。小野は(打球を)上げれば入るんだけど、低い打球で行ってくれているので。花咲の4番は打点だぞと伝えてあるのでそういう意味では第1打席のレフト線への打席は効きました。3点目の生田目の一発が効いた。なんだかんだでこの代は初のベスト8。(秋・春・夏)3大会全てでベスト8に行かないとなると歴史がストップしてしまうので、開始5分で点取るぞって今日は意地でした」と岩井監督は、やや自嘲気味に話しながらも素晴らしい試合内容を受け終始穏やかに語る。

また小野も「最初は徳栄に途中から入って不安な部分もあったんですけど、みんなが快く受け入れてくれたので、この大会で仲間を甲子園に連れて行きたいっていう思いだけです。緊張感に関しては1、2試合はありましたが、今日の試合からは厳しい戦いが続くのはわかっていたので、4番としてどうやってチームを支えられて、導けるか気持ちを入れた。4番は打点だと言われているので。チームが勝つことが全てなので、チームに勇気と勢いを与える打者になれるように」と、今大会にかける意気込みは相当だ。

投手陣もこの日の木田はまずまず、やや腕の位置を下げた左腕・飯島に最速143キロ左腕・高橋が加わり益々パワーアップした花咲徳栄。投打に調子を上げており、他の優勝候補たちも不気味な存在となりつつある。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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