試合レポート

立教池袋vs 都立雪谷

2023.07.11


酷暑の中、立教池袋・林が155球の粘りの投球で都立雪谷の猛追を振り切る!都立雪谷初戦で散る

朝早くから球場は猛烈な暑さに襲われた。都立雪谷には身長187センチの大型右腕・御園 拓摩投手(3年)がいるが、先発のマウンドには1年生の亀田 修一投手が上がった。伊達昌司監督が「試合を作ることができる」と評価しての抜擢であった。

立教池袋は1回、2死後、3番・飯田 尚孝捕手(2年)が中前安打。4番・宮崎 浩太外野手(2年)の四球に暴投で飯田は三塁に進み、5番で先発投手の林 京乃佑投手(2年)の遊撃内野安打で、飯田が生還して立教池袋が1点を先制した。

3回も2死から4番・宮崎の四球に続き、5番・林が二塁打を放ち二、三塁とし、またも暴投で立教池袋が1点を追加する。

4回、都立雪谷の亀田が2四球を出したところで降板。ブルペンでは御園も投球練習を始めていたが、マウンドには2年生の大内 楓莉投手が上がった。しかし大内は立教池袋の1番・島田 種英内野手(3年)に左前安打、4番・宮崎には二塁打を打たれ、立教池袋は3点を追加する。ここでマウンドに御園が上がった。

立教池袋の林の球は球威があり、都立雪谷に得点を与えない。5回は都立雪谷打線を3者三振に仕留めた。けれども猛烈な暑さに加え、神宮球場独特の硬いマウンドで、林の足には疲労がたまり、吊り始めていた。しかも都立雪谷はエースが登板したことで、反撃ムードが盛り上がっていた。

そして5回終了後の休憩時間を終えての6回、都立雪谷の猛攻が始まる。反撃の導火線になったのは、9番・御園の二塁打、1番・川原 弘暉外野手(3年)の左前安打により、無死一、三塁で代打に出た長尾 巧実(3年)だった。長尾はバットを短く持って食らいつき、ファウルで粘った末に左前安打を放ち1点を返す。「粘られて、走者を出してしまったので、つらかったです」と立教池袋の林が語るように、猛暑の中での粘り勝ちとなった長尾の安打は単なる安打1本ではなかった。

続く3番・吉田 一輝内野手(3年)が二塁打を放ち、1点。4番・山﨑 光太捕手(2年)の中前安打で2点が入った。都立雪谷のベンチは盛り上がり、イケイケの雰囲気になったが、まだ1点リードされた状態だった。続く5番・加藤 聖季は投ゴロ。1-6-3の併殺になり、この回の猛攻は終わった。追いかけるチームの勢い、追われるチームの精神状態を考えれば、都立雪谷はこの回に少なくとも同点に追いついておきたかった。

都立雪谷の御園は足が吊ったような状態になり、本来の投球はできなかったが、4回2死から登板し、立教池袋に安打を打たせないなど、力の一端は見せた。

立教池袋の林も、猛暑の中で疲労ははっきりとみてとれたが、走者を出しながらも7、8、9回を抑えて5対4で立教池袋が逃げ切った。155球を投げて完投した林は「こんなに投げたことはありません。暑い中できつかったです」と語った。林は2年生。最後は粘り勝ちしたこの試合は、貴重な経験になったことは間違いない。立教池袋は15日に都立広尾と対戦する。

都立雪谷は5回戦まで勝ち進めば、修徳と対戦する可能性があった。都立雪谷は昨年、一昨年と夏は修徳に負けているだけに、「修徳とやりたかったです」と御園は言う。ただ「ケガ体質です」と御園は言う。成長期の子の軟骨には線(骨端線)があるが、御園はまだ、骨端線がはっきりと残っているという。御園が本当に力を発揮するのはこれからだろう。今後は大学に進むという。大学で頑張って、4年後、ドラフトで指名される選手になってほしいものだ。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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