試合レポート

東京六大学選抜vs北関東選抜

2023.07.01


法政大の準硬式で見つけた強打者 記念すべきオールスター大会第1号は4年間の成果を示す一打

<体育会ナビカップ 関東JUNKOオールスター大会2023:東京六大学選抜5ー2北関東選抜>◇1日◇予選リーグ◇さつき公園第一野球場

 2022年より関東地区大学準硬式野球連盟が主催となって、関東JUNKOオールスター大会が開催されている。2回目の2023年は福島県を会場に、1日に総当たりの予選を開催。東京六大学選抜と北関東選抜が対戦し、5対2で東京六大学選抜が勝利を手にした。

 東京六大学選抜は初回に3番・鈴木 歩夢外野手(法政大4年=明星)のホームランで2点を先制。2回にも1点を追加するなど、幸先よく流れを手にして、試合を優位に進め続けた。特別ルールで、試合時間が2時間という制限をかけられていただけに、鈴木の2点は価値が大きかった。

 鈴木のホームランが大会第1号でもあった。記念の一打を放った鈴木本人は「嬉しいですね」と喜びの一声。大学準硬式で10本近くのホームランを積み重ねてきたが、それまでとは違う格別で記録に残るホームランを、改めてかみしめた。

 このホームランは成長の証でもあった。明星(東京)時代も通算10本塁打近く打てる実力があったが、大学進学時は「甲子園を狙えるような強豪出身の選手たちと野球ができる」環境があった法政大へ指定校で入学。周りのレベルの高さに「負けていられない」と気合は入っていたが、課題もあった。

 スイングスピードが入学当初135キロを記録するも、内角が苦手で課題と捉えていた。近年の大学準硬式は140キロをマークする投手も増えてきたこともあり、対応力を磨かなければいけなかった。

 入学時より体力強化で体重を3、4キロ増やし、スイングスピードも140キロまで引き上げた。さらに速球への対応を磨くために近い距離や、マシンでも速球を打ち続けるなど、とにかく練習して、「右腕を上手くたたむ」感覚を養った。さらに、「(エンゼルスの)大谷(翔平)さんや(元ヤンキースの)イチローさん、(元広島の)前田智徳さんなど、同じ右投げ左打ちのプレー映像を見ました」とイメージも作り続け、対応力が高まった。

 そして北関東選抜戦、ホームランを打ったのは「インコースよりの真っすぐでした」と苦手だったコースを攻略した。4年間の成果といっていいホームランだった。卒業後は、野球継続を希望し、その環境を模索しているという。

 「(準硬式を通じて)人間性の深みが出るのが良いところだと思います」と最後は大学準硬式の良さを口にした。全国大会への出場のチャンスを逃し、この大会がリーグ戦以外では最後の公式戦だ。これまでの集大成として、豪快なバッティングを見せられるか。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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