顔面打撲への対応
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顔面を打撲した、ボールが当たったときの対応を理解しておこう
ケガを未然に防ぐためにコンディションを整えることはとても大切なことですが、野球のプレーではどうしても避けられないアクシデントによるケガ(スポーツ外傷)が起こることがあります。デッドボールやイレギュラーバウンドなどによって、顔面付近にボールが当たった場合、どのように対応すれば良いでしょうか。
●頭部を強打していないかどうかの確認
顔面付近にボールが当たったり、転んで打撲したりといった場合、頭部を強打していないか、頭部が激しく揺らされていないかどうかをまず確認する必要があります。脳振盪などが疑われる場合は、顔面打撲への応急処置を行いつつ、すみやかに脳神経外科の診察を受けるようにしましょう。顔面打撲の場合、他の部位の打撲と同様にまずは氷などで患部を冷やし、できる限り腫れを抑えるようにします。四角いキューブ状の氷をあてるとゴツゴツして痛く感じることがあるため、できればクラッシュアイスなどの砕かれたものが望ましいです。クラッシュアイスがない場合は氷水を準備すると良いでしょう。
●凹凸(おうとつ)部分は骨折しやすい
顔には凹凸(おうとつ)があり、鼻や頬など突出している部分は骨折をしやすいことが知られています。鼻の変形などは見た目でも判断することができるほか、鼻血の出血量が多い場合なども鼻骨骨折しているケースが多いと考えられます。骨折して大きくズレた状態のときは整復することが必要となりますが、アイシング等応急処置を行った上で、なるべく早めに形成外科のある総合病院を受診しましょう。眼窩(目の下)付近も骨折をしやすい部位であり、目の周辺を打撲した場合はものが二重に見える等、眼の機能が低下したり、眼球や視神経などが傷ついたりしていることも考えられるため、すみやかに眼科・形成外科を受診することが必要です。
●口付近・歯の損傷は歯科・口腔外科を受診しよう
歯にボールが当たって抜けてしまったり、欠けてしまったりした場合などはすみやかに救急対応の可能な歯科医、もしくは口腔外科を受診します。抜け落ちた歯の破片は時間が経つにつれてうまく適合できなくなりますので、30分以内を目安に受診するようにしましょう。歯は乾燥に弱いため、破片を流水で軽く洗った後、市販の保存液などにつけた状態で歯科医へ持参します。保存液がない場合は折れた歯を口に含み、唾液で保存しながら歯科医へ行くと適合率が高くなると言われています。誤飲が心配な場合は唾液にひたした状態でラップにくるんだり、生理食塩水や牛乳が手元にあれば、これらにつけた状態ですぐに歯科医に行きましょう。
顔付近にボールが当たる、もしくはフェンスなどに激突して顔を強打する等、顔面打撲に遭遇することは少なくありません。もしものときを想定しつつ、適切に対応できるようにしておきましょう。
文:西村 典子
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