免疫低下のサインを知ろう
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水分補給後も喉が渇くときは脱水や免疫の低下のサインかも
アスリートは日頃から体を鍛えているので、病気から体を守る免疫(めんえき)機能も高いと思われがちですが、実は激しい運動や繰り返されるトレーニングによって免疫機能が低下しやすいことが知られています。免疫を低下させる要因としては、特に長時間にわたる持久性運動や間欠的運動(激しい運動と短い休みを交互に繰り返すインターバル系のもの)、脱水や食事制限を伴った減量、長時間の飛行機による移動(低酸素・低湿度の環境)などが挙げられます。免疫が低下したときは風邪などの感染症にかかりやすくなるため、運動量を少し抑えた上で適切な栄養と休養をとって回復をはかることが大切です。基本的な感染予防の対策(手洗い・うがい等)もあわせて行いましょう。
免疫機能は、唾液に含まれる分泌型免疫グロブリンA(SIgA)の値で評価することが一般的ですが、選手の皆さんがそうした数値を測定することはあまり現実的ではありません。皆さんが自分で気づく免疫低下のサインを覚えておきましょう。
1)休養してもいつも以上に疲れを感じる
運動後の休養や、疲労回復のためのリカバリーがうまくできているかどうか、睡眠によって体の疲労感が軽減されたかどうかを確認しましょう。十分な休養をとっても疲労を感じるときは免疫が低下しているサインと考えられます。
2)なかなか寝つけない、なかなか起きられない
睡眠時間を十分に確保していても、浅い睡眠であったり、寝つき・寝起きがよくない状態が続いたりすると免疫が低下していることが考えられます。起床時に安静時心拍数を測定し、普段よりも心拍数が多い状態が続くようであれば、運動量を減らして疲労回復を優先させるようにしましょう。
3)水分補給を行っても口の渇きが続く
口が渇いた状態というのは唾液の量が減っていることを示唆しています。唾液には分泌型免疫グロブリンA(SIgA)の他にも、多くの抗菌・抗ウイルスに関わる物質が含まれているため、唾液の量が減ってしまうと粘膜のバリア機能が低下し、免疫の低下につながります。
こうした免疫低下のサインは自分自身でもチェックすることが可能ですので、普段から自分自身の小さな変化を見逃さないように心がけましょう。
参考書籍)アスリートのためのトータルコンディショニングガイドライン/独立行政法人日本スポーツ振興センター・ハイパフォーマンススポーツセンター
文:西村 典子
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