News

免疫低下のサインを知ろう

2023.09.12


水分補給後も喉が渇くときは脱水や免疫の低下のサインかも

 

 アスリートは日頃から体を鍛えているので、病気から体を守る免疫(めんえき)機能も高いと思われがちですが、実は激しい運動や繰り返されるトレーニングによって免疫機能が低下しやすいことが知られています。免疫を低下させる要因としては、特に長時間にわたる持久性運動や間欠的運動(激しい運動と短い休みを交互に繰り返すインターバル系のもの)、脱水や食事制限を伴った減量、長時間の飛行機による移動(低酸素・低湿度の環境)などが挙げられます。免疫が低下したときは風邪などの感染症にかかりやすくなるため、運動量を少し抑えた上で適切な栄養と休養をとって回復をはかることが大切です。基本的な感染予防の対策(手洗い・うがい等)もあわせて行いましょう。

 免疫機能は、唾液に含まれる分泌型免疫グロブリンA(SIgA)の値で評価することが一般的ですが、選手の皆さんがそうした数値を測定することはあまり現実的ではありません。皆さんが自分で気づく免疫低下のサインを覚えておきましょう。

1)休養してもいつも以上に疲れを感じる

 運動後の休養や、疲労回復のためのリカバリーがうまくできているかどうか、睡眠によって体の疲労感が軽減されたかどうかを確認しましょう。十分な休養をとっても疲労を感じるときは免疫が低下しているサインと考えられます。

2)なかなか寝つけない、なかなか起きられない

 睡眠時間を十分に確保していても、浅い睡眠であったり、寝つき・寝起きがよくない状態が続いたりすると免疫が低下していることが考えられます。起床時に安静時心拍数を測定し、普段よりも心拍数が多い状態が続くようであれば、運動量を減らして疲労回復を優先させるようにしましょう。

3)水分補給を行っても口の渇きが続く

 口が渇いた状態というのは唾液の量が減っていることを示唆しています。唾液には分泌型免疫グロブリンA(SIgA)の他にも、多くの抗菌・抗ウイルスに関わる物質が含まれているため、唾液の量が減ってしまうと粘膜のバリア機能が低下し、免疫の低下につながります。

 こうした免疫低下のサインは自分自身でもチェックすることが可能ですので、普段から自分自身の小さな変化を見逃さないように心がけましょう。

参考書籍)アスリートのためのトータルコンディショニングガイドライン/独立行政法人日本スポーツ振興センター・ハイパフォーマンススポーツセンター

文:西村 典子
球児必見の「セルフコンディショニングのススメ」も好評連載中!

この記事の執筆者: 田中 裕毅

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.05

白山高元監督の“下剋上球児”再現はあるのか!? センバツ1勝の宇治山田商、2年生集団で東海大会準優勝の菰野など各ブロックの見所を紹介【2024夏・三重大会展望】

2024.07.05

大阪大会は京セラドーム大阪で6日に開幕、大阪桐蔭は14日、履正社は14日に初戦【2024夏の甲子園】

2024.07.05

6日兵庫大会が開幕!春夏8度甲子園出場の神港学園が登場【2024夏の甲子園】

2024.07.05

愛知大会は6日に1、2回戦!昨秋4強、21世紀枠推薦校の小牧南がリベンジの夏へ【2024夏の甲子園】

2024.07.04

「学校と地域に支えられて戦う」県内有数の進学校・磐田南(静岡)、“潔く”戦って最高の夏に【野球部訪問】

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.30

突然の病で右半身が麻痺した「天才野球少年」が迎える最後の夏 あきらめなかった甲子園出場の夢、「代打の一打席でもいいから……」

2024.07.05

白山高元監督の“下剋上球児”再現はあるのか!? センバツ1勝の宇治山田商、2年生集団で東海大会準優勝の菰野など各ブロックの見所を紹介【2024夏・三重大会展望】

2024.06.29

北海は道内29連勝なるか、東海大札幌VS札幌日大の強豪対決も、30日に札幌支部で代表決定戦【2024夏の甲子園】

2024.06.29

昨秋3位の豊橋中央が登場、享栄破った実力見せる!30日愛知大会【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!