試合レポート

【神奈川】4回戦 桐蔭学園 vs 横浜商

2023.09.18


公立校唯一のベスト8入りを決めた横浜商、強豪私学を破る投手力、堅い守備、好投手に振りまけない打撃に注目

<神奈川県高校野球秋季県大会:横浜商4-3桐蔭学園>◇17日◇4回戦◇サーティーフォー保土ヶ谷

横浜商vs桐蔭学園の一戦は、9回までもつれる展開になった。

3回、桐蔭学園がチャンスを作り、バッテリーミスで1点を先制。しかし4回、横浜商桐蔭学園の好投手・熊ノ郷 翔斗投手(2年)から7番・小菅 琉樹外野手(2年)の2点適時二塁打で逆転に成功する。小菅はバスターでしっかりとスイング軌道を改め、138キロの直球を捉えることができていた。

横浜商の先発・平野 友也投手(2年)が8回まで1失点と好投した。最速131キロの直球を両サイドに投げ分けながら、投球の中心は115キロ前後の縦スライダーだった。リードする門脇 嵩世捕手(2年)は「平野の縦スライダーはしっかりと決まれば打たれない自信がありました」と語るように、低めに決まるスライダーに桐蔭学園の打者は、ほとんどが腰砕けだった。

その後、2対1と横浜商リードのまま9回を迎える。

9回表、桐蔭学園の反撃に合い、久我 孝太捕手(1年)の犠飛で追いつくと、6番・寺澤 太智内野手(2年)の右翼線を破る適時打で勝ち越しされた。平野は「先頭打者に四球を出してしまいました。そこが反省点です」と悔やむ。そして門脇は「抑えたい、勝ちたい思いが強すぎて、このコースに投げてほしいというジェスチャーが足らなかったと思います」と反省する。

だが、9回裏にドラマが起こった。2番・嶋田 青太内野手(2年)のサヨナラ逆転2ランが飛び出し、ベスト8進出を決めた。

サヨナラ本塁打を打った嶋田は「風とそして声援が打球を後押ししてくれたと思います。自分は本塁打を打てる打者ではないですし、打った自分が一番驚いています」と結果には驚きつつも、強くスイングする自信はあった。

「これまでバットを振り続けてきて、練習量は負けない自信がありました」

そう、意気込む嶋田に、横浜商の菅沼監督はバントさせることもなく、嶋田のポテンシャルの高さを信じて、打たせた。それが最高の結果につながった。

桐蔭学園の投手はいずれも130キロ中盤を計測し、直球の精度も高い。簡単に打ち崩せる投手ではないが、そういった投手たちに怯むことなく、自分の打撃ができるなど、土壇場でひっくり返す横浜商の底力は侮れない。

出身中学をみると、捕手の門脇は横浜市立西谷中、サヨナラ本塁打を放った嶋田は横浜市立岡村中、好投の平野は横須賀市立長澤中と、地元の公立中出身で構成されたメンバーなのが分かる。

さらに横浜商はセンターラインを中心に守備力の高い選手が多い。公立校唯一のベスト8を決めた横浜商の次の相手は、夏の準決勝で対戦した横浜。前回は何もできずコールド負けに終わった。「投手総動員でいく」と菅沼監督が語るように、全力でぶつかり、勝利を目指す。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.06

23年三重王者・いなべ総合が初戦で敗れる!9回に逆転満塁弾を許す

2024.07.06

MAX153キロ、高校通算39本塁打、偏差値70! 東京の超進学校に現れた“規格外の男”森井翔太郎の「気になる進路」

2024.07.06

高校生ドラフト期待度ランキング10位-1位 ドラフト上位有力“超高校級の逸材”の中から1位に輝いたのは…?【2024夏直前版】

2024.07.06

【7日登場の逸材たち】超進学校・桐朋の二刀流が登場!横浜隼人の149キロ右腕、名門・県立岐阜商の149キロ右腕などプロ注目選手が続々初戦を迎える

2024.07.06

謎の新鋭・エナジックが5回コールド勝ち発進!監督は沖縄界きっての名将が率いる

2024.07.05

白山高元監督の“下剋上球児”再現はあるのか!? センバツ1勝の宇治山田商、2年生集団で東海大会準優勝の菰野など各ブロックの見所を紹介【2024夏・三重大会展望】

2024.07.05

春連覇した加藤学園は悲観達成を狙う! 静岡、日大三島、藤枝明誠、プロ注右腕・小船を擁する知徳らが行く手を阻む!?【2024夏・静岡大会展望】

2024.07.05

静岡大会ではノーシード勢が初戦、常葉大菊川、聖隷クリストファーが開幕6日に登場【2024夏の甲子園】

2024.07.05

三重大会が6日開幕、昨夏代表のいなべ総合が初日に登場【2024夏の甲子園】

2024.07.05

大阪大会は京セラドーム大阪で6日に開幕、大阪桐蔭は14日、履正社は14日に初戦【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!