腰痛を引き起こす姿勢を見直そう
横向きで寝るときはクッションなどを使う姿勢を維持しやすく、腰への負担も軽くなる
腰痛を引き起こす要因はさまざまですが、野球選手の多くは骨や関節、筋肉などいわゆる運動器にまつわるものが多く見られます。また動くと痛みが強くなるものだけではなく、動かないことによる痛みもあります。腰痛は特にある一定の姿勢を取り続けていると、時間の経過とともにジワジワと痛みを感じることも少なくありません。同じ姿勢のよる腰の痛みを改善するためには、どのようなことが出来るでしょうか。
朝起きたら腰が痛い
同じ姿勢を取り続ける…といってまず思いつくのが睡眠時の姿勢です。就寝時は寝返りを繰り返すものの、睡眠中は大きく体を動かすことなく過ごすため、人によっては7~8時間程度同じような姿勢となります。動かないことによって、筋肉も自然と拘縮(こうしゅく:かたまってしまうこと)してしまい、「朝起きたときが一番腰が痛い」という選手もいることでしょう。仰向けの姿勢は体を横たえた状態であっても、腰がやや反りがちになってしまうので、こうした姿勢も腰痛を引き起こす一因となってしまいます。このような場合は仰向けになったときに、膝下に枕やクッションなどを置いて膝を軽く曲げるようにすると、腰椎が過度に反り返るのを防ぐことができます。
一方でもともと腰に痛みを抱えている選手にとっては、仰向けで寝ることそのものが難しいかもしれません。その場合は左右どちらか一方に顔を倒して横向きの姿勢をとってみましょう。抱き枕やバスタオルなど厚みのあるものを準備すると横向きの姿勢がとりやすいと思います。横向きの姿勢は呼吸がしやすく、また口を閉じやすいため、自然と鼻呼吸がしやすいというメリットもあります。
長時間のバス移動で腰が痛い
この他にも同じ姿勢を強いられるという点では、長時間の移動による座った姿勢が考えられます。できれば1時間に一度程度は立ち上がって軽く体を動かすようにしたいところですが、長距離移動ではタイミング良く休憩を取ることが難しいために、試合会場に着いたときには腰が痛くて困った…という経験のある選手もいるかもしれませんね。あらかじめバスなどでの長距離移動がわかっている場合は、硬い座面に対してクッションを準備しておいたり、足が投げ出されて姿勢が崩れないように足元に踏み台になるようなものを置いておいたりするだけでも、腰椎への負担を軽減させることが期待できます。
うつ伏せでゲームをしていませんか
最近は高校生にとどまらず、さらに若い年代においても、スマホ視聴やゲームのしすぎによって腰痛を引き起こすケースが増えているようです。座った姿勢で首が亀のように前に飛び出す姿勢は、首のストレートネックの要因となったり、腰が丸まって腰椎に負担をかけたりしますが、その姿勢だけではなく寝転がってうつ伏せの姿勢を取り続けることによって、腰を反らせた状態を続けてしまい、腰を痛めることにつながっていくようです。筋肉が硬くなるだけであればまだしも、そこから腰椎に負担をかけ続けると腰椎分離症などの要因ともなりやすいため、スマホ視聴やゲームをするときの姿勢については早急に見直す必要があります。同じ姿勢を長時間(1時間~)続けることそのものが、筋肉の拘縮につながることを考えると、姿勢とともに一日に占める動画視聴やゲームに費やす時間についても、見直すようにしてみましょう。
文:西村 典子
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