パフォーマンスに影響する歯ぎしり【セルフコンディションニングお役立ち情報】
夜間に使用するマウスピースは歯ぎしり対策にも効果的
皆さんは就寝中に歯ぎしりを指摘されたり、朝起きたときに顔や首、肩周りの筋肉などが異様に張っていたり…といった経験はないでしょうか。寝ている間のことは自覚しにくいものですが、最近は睡眠時間や睡眠の質などを手軽に測定するアプリなどがあり、中にはいびきや歯ぎしりの音をひろって録音するといった機能までついているものもあります(最近のアプリは高機能ですね!)。睡眠中に起こる歯ぎしりは、疲労やストレスなどが重なって睡眠の質が低下したとき、明け方の眠りが浅くなっている時などに起こりやすいといわれています。
歯を強く食いしばり、上下の奥歯でこすり合わせてゴリゴリと音を出す歯ぎしりは、顎(あご)周辺部の筋肉を強く収縮させているために、筋緊張を起こしやすく、この状態が長引くほどに歯や顎をはじめ、顔周辺部や首・肩などの筋肉に負担がかかるようになります。朝起きたときに頭痛があったり、顎のだるさを覚えたり、口を大きく開けることができないといった自覚症状があるときは、知らず知らずのうちに歯ぎしりをしている可能性があります。また野球のように左右非対称の動きが多いスポーツでは筋力のアンバランスが起こりやすく、食いしばりやすい側でより強く歯ぎしりや噛みしめをしてしまうことも少なくありません。このように歯や顎周辺部の筋肉などに負荷がかかり続けると、やがて歯の噛み合わせが悪くなり、フォームや体のバランスが崩れてパフォーマンスにも影響を及ぼすことが懸念されます。口を開けづらくなる顎関節(がくかんせつ)症などに悩まされることもあります。
歯ぎしりを防ぐためには、筋緊張を解くこと、ストレスなどをため込まないようにすることが大切です。熟睡できるような就寝前の行動を実践していきましょう。入浴後のストレッチは柔軟性を回復させるだけではなく、筋緊張を和らげることにつながります。特に首や肩、背中などの筋緊張はなるべくその日のうちに改善させましょう(ストレッチポールや筋膜にアプローチするフォームローラーなどがある場合は、ぜひ活用してください)。また好きな音楽を聴いたり、好みの香りでリフレッシュしたりしながら、リラックスした時間を過ごすことも睡眠の質を高めるためには欠かせません。
歯ぎしりを何度か指摘されたことのある人、自覚のある人については、必要に応じて夜間に装着するマウスピースの使用を検討しましょう。歯科医院を受診し、作成してもらうと歯ぎしりの抑制と歯のコンディションを守ることができます。歯ぎしりやそれに伴って起こる歯の噛み合わせの変化などは、コンディションを低下させるだけではなく、野球のパフォーマンスにも影響するものです。自分が歯ぎしりをしていないかどうか、ストレスや疲労をため込んでいないかどうかを確認し、早め早めに対応するようにしましょう。
文:西村 典子
球児必見の「セルフコンディショニングのススメ」も好評連載中!