試合レポート

【近畿】初出場の須磨翔風、主将バットで智辯学園に逆転サヨナラ!〈秋季地区大会〉

2023.10.29


須磨翔風ナイン ※写真は過去の取材より

<秋季近畿大会:須磨翔風5-4智辯学園(延長10回タイブレーク)>◇28日◇1回戦◇大阪シティ信用金庫スタジアム
近畿大会初出場の兵庫2位・須磨翔風が奈良1位の智辯学園を延長戦の末にサヨナラで下した。
須磨翔風の先発は絶対的エースの槙野遥斗投手(2年)。最速140キロのストレートとスライダーを武器とする本格派右腕だ。しかし、「ちょっと空回りしていました」と立ち上がりに苦しむ。先頭に死球を出して、犠打で二塁に進まれると、3番・近藤大輝内野手(1年)に右中間を破る適時三塁打を浴びて先制を許してしまった。さらに続く4番・佐坂悠登外野手(2年)に初球でスクイズを決められて、いきなり2点を追いかける展開となる。

それでも須磨翔風はその裏に2死二、三塁のチャンスを作ると、5番・西田修斗捕手(2年)が右前適時打を放ち、すぐさま同点に追いついた。
これで「また気合いが入りました」という槙野は本来の投球を取り戻し、走者を背負っても持ち味の粘り強い投球で要所を締める。1点を勝ち越した直後の6回表には捕逸や失策で2死一、三塁のピンチを招き、9番・八尾大翔内野手(2年)に三塁線を破る適時二塁打を打たれて同点に追いつかれたが、後続を断ち切って勝ち越しは許さなかった。

智辯学園は6回から登板した技巧派左腕の田近楓雅投手(2年)が変化球を駆使して好投。互いに譲らないまま試合は無死一、二塁からのタイブレークが適用される延長戦に突入した。
10回表の智辯学園は犠打で1死二、三塁とすると、途中出場の金澤瑠一登外野手(1年)にスクイズのサインを出す。しかし、これを空振りしてしまい、三塁走者が挟まれてタッチアウト。2死三塁となり、無得点に終わるかと思われたが、その直後に暴投で1点を献上。許容範囲とはいえ、もったいない失点だった。

須磨翔風はその裏、犠打で1死二、三塁とするが、2番・堀航太外野手(1年)が空振り三振に倒れて2死となる。ここで「こういう場面でよく打つ子」と中尾修監督が信頼する主将の3番・榧谷颯人内野手(2年)に打順が回った。
「6回に自分のエラーから失点を許してしまったので、絶対に取り返そうと思って打席に立ちました」という榧谷は1ストライクから甘く入った変化球を捉えると、打球は前進守備の左翼手の頭上を越える長打となり、二者が生還。主将の劇的な一打で須磨翔風が逆転サヨナラ勝ちを収めた。

中尾監督によると、今年のチームは決して選手層が厚いわけではないそうだが、「粘り強さが凄い」と強さの秘訣を語る。この試合でも甲子園優勝経験もある強豪相手に接戦で食らいつき、最後の最後で勝ちをもぎ取った。
勝てば甲子園初出場に大きく近づく準々決勝は連戦となる。114球で10回を投げ切り、9安打、3四死球、5奪三振で自責点2という結果に終わった槙野は「しっかりケアして、明日も勝てるように頑張りたいです」と連投に備える姿勢を見せた。
取材・文=馬場 遼

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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