O脚と骨のアライメント【セルフコンディションニングお役立ち情報】
骨のアライメントの違いを知っておこう
皆さんは「アライメント」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。一般的には本来あるべき位置に「正しく並べること」を意味しますが、スポーツ医学の分野では骨や軟骨、関節などの配列のことを指します。膝のO脚はアライメントが崩れた状態であり、これには先天性のもの(遺伝や生まれつきの骨格によるもの、病気による骨の変形など)と後天性のもの(体の使い方や姿勢不良などによるもの)があります。アスリートの多くは後天性のものによってO脚傾向になると考えられています。
【後天的なO脚につながるもの】
後天的なO脚の要因として考えられるのは、内転筋など太ももの内側の筋力低下によって、膝が正面からやや外側に開いてしまいやすくなることや、お尻の筋肉(外旋筋群)が硬くなって、いわゆる「がに股」状態でバランスをとってしまうことなどが考えられます。この他にも足をどちらか一方だけ組むような姿勢を好んだり、背中が丸まった猫背の姿勢が続いたりすると、膝は常に曲がった状態を強いられてアライメントが崩れる一因となります。こうしたことが積み重なると、足をそろえて立ったときに内側で両膝が接することなく、すき間が生まれてしまいます。一般的にはすき間に指2本以上入る状態をO脚としています。
【O脚がもたらすスポーツ傷害】
O脚は膝蓋骨(膝のお皿の骨)が外側に引っ張られやすく、運動量が増えるに従って膝の外側を中心にトラブルが起こりやすくなります。代表的なものには膝の外側にある靱帯を痛める腸脛(ちょうけい)靱帯炎が挙げられます。またO脚によって下腿部の脛骨(けいこつ)がねじられた状態となり、ジャンプの繰り返しや激しいランニングによって荷重負荷が大きくなると、シンスプリントや疲労骨折のリスクが高まります。
【改善のためのコンディショニング】
O脚の選手は外側に荷重がかかりやすいため、特に内転筋をはじめとする太もも内側の筋肉を鍛え、臀部の柔軟性についてもストレッチなどで改善しておくようにしましょう。お尻の筋肉が硬いとつま先が外側に向きやすくなり、結果的にO脚状態になりやすくなります。また拇指球に体重をのせるイメージを持ちながら意識的にランニングフォームなどを確認することも必要になってくると思います。普段使っているランニングシューズの靴底をチェックし、外側がより多くすり減っていないかどうかも確認してみましょう。
骨の配列そのもののを改善するというよりは、スポーツを長く行ってきたために起こる筋力や柔軟性の左右差、普段の姿勢、アライメントを崩しやすい歩き方や走り方といった動作など、後天的な要因を見直すことがO脚の改善につながります。パフォーマンスにも影響することが考えられるため、極端にO脚傾向が強い場合はぜひ改善するためのコンディショニングに取り組んでみてくださいね。
文:西村 典子
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