腹筋は毎日鍛えるもの?【セルフコンディションニングお役立ち情報】
メディシンボールを使った高強度のトレーニングなど、負荷や頻度に応じて休養日を設けるようにしよう
体の胴体部分である体幹は、強さとしなやかさをあわせ持つことでバッティングやピッチングなどのパフォーマンスアップに貢献します。選手の皆さんは体幹を強くするために毎日のように腹筋を中心としたトレーニングを行っているのではないでしょうか。トレーニングを行うと筋肉は伸び縮みを繰り返すために筋線維が傷み、時間の経過とともに修復するという過程をたどります。通常、筋肉が再生し、強化されるのに要する時間は48~72時間ほど(2日~3日程度)と言われています。腹筋も筋肉ですので、トレーニングで強い負荷をかけた後は修復のための時間が必要となります。
ところが腹筋のトレーニングを「毎日のように行う」人が多いのはなぜでしょうか。腹筋は文字どおり腹部全体を覆うように広がっており、血流豊富な骨との連結部が多く存在します。また四肢の筋肉に比べて心臓に近いということもあり、体に入った栄養素がより早く、より多く供給されるという位置的なメリットもあります。体全体の血流がよくなると、損傷した筋線維に必要な栄養素がすみやかに行き渡り、細胞の修復・再生を促してより早く回復することが期待できます。このようなことから腹筋は疲労や筋損傷からの回復速度が早く、「毎日腹筋を鍛えても問題ない」と考えられるようになったのかもしれません。また自体重を使ったエクササイズが多いため、さほど強い負荷になり得ないことも理由の一つでしょう。
腹筋の特性を考えると、トレーニングの頻度は他の部位と比べて多くてもさほど問題にはならないと考えられますが、高強度のエクササイズを行った後はやはり十分な休養が必要となります。特に筋肉を伸ばしながら負荷をかける動作(エキセントリック収縮:たとえばメディシンボールを使った腹筋や、腹筋を鍛えるためのローラーで腹部を伸ばしてから収縮する等)は筋肉痛がより強く現れる傾向にあり、強い筋肉痛が残る場合は休養日を設けることが大切です。また日々欠かさず腹筋をトレーニングする場合は、腹筋でもたとえばひねりを加えて腹斜筋を鍛えるとか、腿の付け根にある腸腰筋を鍛える、プランクで腹横筋を刺激するといったように鍛える部位を変え、ローテーションを組んで行うことを心がけると体幹部がまんべんなく鍛えられることになります。ぜひ参考にしてみてくださいね。
文:西村 典子
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