片側性エクササイズの活用【セルフコンディションニングお役立ち情報】
動きの特性を考えると、片側性エクササイズを活用することも大切
トレーニングのエクササイズには、バーベルなどを使って両側に同じ負荷をかけて行うもの(バイラテラル:両側性)と、ダンベルなどを使い片側ずつ行うもの(ユニラテラル:片側性、一側性)があります。野球は左右非対称な動きが多く、筋力バランスが偏ってしまいがちなことを考えると、土台となる筋力強化としては両側性のものを中心にプログラムを組むことが望ましいと言えるでしょう。代表的なエクササイズとしてはスクワットやデッドリフト、ベンチプレスなどが挙げられます。
一方、野球の動作に着目してみると、両腕もしくは両足同時に同じ動きをするというケースは少なく(たとえば頭上を越えそうなボールに対しジャンピングキャッチを試みる)、ランニングで交互に足を着地する、ピッチングやバッティングで回旋動作を伴いながら片側により大きな負荷がかかるといった実際の動作に近くなるのが片側性のエクササイズと言えます。ただし野球の動作そのものにウエイトによって負荷をかけることは、負荷のかかり方やその方向性が違ってくるため、推奨されるものではありません。あくまでも左右片側ずつに分けることで、体幹の回旋や肩甲骨の動きなども利用しながら筋力や柔軟性などの体力要素を鍛えることにつながるものと考えましょう。
片側性エクササイズはある程度トレーニング経験があり、基礎筋力のある選手に向いています。新入生やトレーニング初心者はまず両側性エクササイズで安定した動作が繰り返しできるようにトレーニングを行いましょう。片側性エクササイズはターゲットとなる部位の筋力向上だけではなく、その負荷に対するバランス能力、体幹の安定性などの向上が期待できます。またケガからの復帰に向けたトレーニングでは、トレーニングが可能なサイドのみ実施することもできます。一方で両側性に比べてトレーニング時間がかかることやインターバル時間が長くなってしまうこと((左右行うため単純に考えても倍の時間がかかる)、両側同時に動作を行うときの筋力があまり向上しないというデメリットがあります。さらに両側性エクササイズよりも高負荷を扱うことが難しく、無理に重いものを扱おうとするとトレーニングによってケガをしてしまうリスクが高まります。
こうした特徴を踏まえつつ、土台となる基礎筋力は両側性エクササイズを行い、その上で片側での荷重や動作の安定性などを高めるための片側性エクササイズを上手に活用するとパフォーマンス向上が期待できます。トレーニングにある程度慣れてきたら、シングルレッグスクワットやワンハンドダンベルローといった片側性エクササイズにも挑戦してみましょう。
文:西村 典子
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