【高校野球ベストシーン’23・沖縄編】強かった沖縄尚学、4番は広島4位、エースは指名漏れから中央大へ
東恩納 蒼・仲田 侑仁
2023年もあとわずか。ことしも高校球界ではさまざまな印象的な出来事があった。各都道府県ごとにベストシーンを思い出してみよう。
今年の沖縄では、春夏連続で沖縄尚学が甲子園に出場した。センバツでは2勝を挙げて3回戦に進出。夏は2勝してベスト8に勝ち進んだ。右腕エース、東恩納 蒼投手(3年)を中心とした守りの堅さと、1番・知花 慎之助外野手(3年)、4番・仲田 侑仁内野手(3年)を軸とした打線の破壊力を武器に、甲子園でその実力を発揮した。
なかでも東恩納の存在は、沖縄県内はもちろん、全国、そして世界にも知れ渡った。特に夏の成長度は高く、沖縄大会で31.1回を無失点に抑えて優勝。甲子園の初戦(2回戦)で、いなべ総合(三重)相手に完封勝利を挙げると、3回戦の創成館(長崎)戦の8回途中までゼロを並べて48回連続無失点の「無双」ぶりを見せつけた。
世界の舞台でも飛躍した。U-18W杯では、プエルトリコ戦での5回完全試合を含め、11回無失点の成績で大会の「ベストナイン」にも選ばれた。
仲田も強烈な印象を残した。センバツの初戦、大垣日大(岐阜)戦で左中間奥深くに突き刺す満塁弾。夏甲子園では敗れた準々決勝の慶應義塾(神奈川)戦で先制2ランを放っている。構えただけで相手投手に威圧感を与えるような雰囲気を持つスラッガー。全国の高校球児のなかで、今年、春夏と連続して甲子園で本塁打を放った唯一の選手だった。
2人は今後、違う道を歩むことになる。プロ志望届を提出した仲田は自慢の長打力が評価されて、ドラフトで広島から4位指名を受けて「将来の4番候補」として期待されている。
一方の東恩納は、当初大学進学希望を口にしていた。しかし、U-18W杯から帰国後に方針が変わりプロ志望届を提出するも、ドラフトでは、どの球団からも指名がなかった。その後、大学進学を目指していたが、中央大からの合格通知を受け取り、心機一転4年後のプロ入りを目指すことになる。
沖縄尚学は22年秋、新チームとなって、県内では「無敵」を誇った。秋季沖縄大会を制し、九州大会で優勝すると、今年の夏も制して春夏連続甲子園を経験。王者と呼ばれ、王者にふさわしい強さを誇ったチームだった。
沖縄尚学・夏甲子園準々決勝スタメン
(中)知花 慎之助(3年)
(二)佐野 春斗(3年)
(左)玉那覇 世生(3年)
(一)仲田 侑仁(3年)※広島4位指名
(三)川満 渚生(3年)
(投)東恩納 蒼(3年)※中央大進学予定
(遊)宮平 良磨(3年)
(右)糸数 幸輝(3年)
(捕)大城 和平(3年)