萩原獅士(星稜)、石川の「ジャングル大帝」は4番サードの大先輩「ゴジラ」を目指す<2024年のヒーロー候補たち⑤>
とにかく見ていてスカッとするような打撃を見せてくれる。この秋、明治神宮大会で、32年ぶりに優勝を果たした星稜(北信越)の萩原 獅士(れお)内野手(2年)は、4番打者として2本塁打を含む7打点を挙げる活躍を見せた。
172センチと、決して上背はないが、グリップを高く上げて大きく構え、存在を大きく見せている。投球と同時に、グッと体を沈み込ませて、バットのヘッドを投手側に向けると、柔らかいリストを使った鋭いスイングを見せる。神宮の舞台で見せた2本の本塁打は、まさにその素材の高さを証明するような打撃だった。
1本目は準々決勝の青森山田(東北)戦。第2打席で大きく曲がるカーブに泳がされることなく、下半身の粘りでタイミングを合わせ一気に振り抜くと、打球は高々と上がって左翼ポール際に吸い込まれた。
2本目は準決勝の豊川(東海)戦。こちらも第2打席で、今度は直球を振り抜くと、打った瞬間それと分かる一発となって左翼席で弾んだ。直球にヤマを張って振り抜いたスイングで、2試合連続弾となる会心の一撃だった。
やみくもに引っ張るだけではない。北信越大会でも右方向への安打を放つなど、器用さがある。バットのヘッドを効かせた「くせ」のあるフォームながら、天性のバットコントロールがあるのか、ジャストミートさせるのが上手い。内角球に対する対応には課題がありそうだが、ムチのようなしならせる打撃フォームは誰にも真似できないと思わせる。
「獅士」と書いて「れお」と読む。父が手塚治虫さんの漫画「ジャングル大帝」の主人公、白いライオンのレオから取ったものという。本人はその漫画は知らないというが、少々荒々しい打撃スタイルは、名前負けしていないようにも感じる。
32年前の星稜の優勝時には、巨人、ヤンキースで活躍した松井秀喜氏が背番号5で「4番・サード」に座り、2本塁打を放っている。同じく背番号5の「4番・サード」の萩原は、その偉大な先輩に肩を並べたことになる。
来年春のセンバツの舞台でも、星稜の背番号5が輝く日が訪れる。
星稜・萩原 獅士(れお)内野手
【経歴】
172センチ、73キロ、右投げ右打ち
兵庫県・神戸市立玉津中、神戸中央リトルシニア出身。
【寸評】
大きな構えからリストを生かしたパワーあふれるスイングを見せる高校通算14本の長距離砲
【実績】
1年秋 石川大会1試合代打で出場も無安打。
2年春 石川大会5番・三塁で5試合に出場、打率.235。北信越大会でも5番・三塁で3試合に出場した。
2年夏 石川大会では2番・三塁で出場し、全5試合で安打をマーク。20打数10安打、打率.500を残した。甲子園でも2番・三塁でスタメン出場。チームは敗れたが1安打を放った。
2年秋 石川大会では、ほぼ4番・三塁でスタメン出場し打率3割をマークした。北信越大会では3、4、5番を任され、明治神宮大会では4番・三塁で2発7打点。チームの優勝に貢献した。