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「ミスを怒らない」少年軟式の全国大会が大盛況! 佐藤輝明、福留孝介も登場して会場を沸かす

2023.12.11


優勝した魚住フェニックス

9日より甲子園で開催されていた少年軟式野球大会「MIZUNO BASEBALL DREAM CUP Jr. Tournament2023 全国大会FINALラウンド」。最終日となる10日は準決勝2試合と決勝戦、さらにエキシビションマッチの計4試合が実施。大会は魚住フェニックス(兵庫)が優勝した。

午前中の準決勝では、魚住フェニックスと水戸市野球スポーツ少年団が勝利。決勝戦に駒を進めた。
第1試合に登場した魚住フェニックスは、打瀬ベイバスターズ(千葉)を4対3で下す。魚住フェニックスが同点で迎えた5回に熊崎龍道のランニングホームランで勝ち越しに成功して、決勝進出。続く第2試合では水戸市野球スポーツ少年団が八代ジュニアスターズ(熊本)を7対5で下す終盤に猛追にあったが、5回にダメ押しの3点を加えて試合を決めた。

そして迎えた決勝では、魚住フェニックスが10対9のサヨナラ勝ちで優勝を手にした。3回終わって2対9と7点差を付けられていたが、5回の4得点で反撃開始。1点差で最終回に入ると、一気に2点を奪って歓喜の輪を作った。あまりの劇的な優勝に、魚住フェニックス・熊澤清龍監督は「7点差をひっくり返すことはなかなかないので、選手はよくやったと思います」と驚きながらも選手たちを称えた。

プレゼンターで登場した佐藤輝明選手

地元・兵庫ということもあり、スタンドには大勢のチーム関係者が駆け付け、大会を盛り上げた。今大会の約束事として掲げる「みんなでこの大会を盛り上げよう」という項目を、率先したチームの1つだった。と同時に、もう1つの約束事も積極的に実践していた。
「リエントリー制度をおかげで、ベンチ入り23人全員がグラウンドに立てました。メンバー外も試合には出られないですが、ベンチに入れて雰囲気を味わせることができました」

甲子園の経験は一生の思い出だけでなく、今後に生きてくる。そう思って選手起用をしていたというが、まさに「みんなが主役!1人でも多くの選手が試合に出よう」という約束事を実践していたといっていい。

ベスト4で終わった打瀬ベイバスターズ・堀部聡一監督も「励まし合う、支え合えるようになって、ピンチの場面でも乗り切れる粘り強さ。ここぞでの集中力が成長した」と選手たちの変化を振り返る。コンセプトである「みんなで褒め合おう!みんな笑顔で楽しもう!『ミスを怒らず、みんなで助け合う』野球大会」のおかげで、成長できたことも含めて、「大きな意味のある大会だった」と語る。

フリー打撃を披露した福留孝介さん

選手たちからも、様々な声があった。
ベスト4に終わった八代ジュニアスターズの主将・田中岳は「いつも以上に指導者が優しく接してくれたこともあって、これまで以上に野球が楽しかった」と語れば、準優勝の水戸市野球スポーツ少年団の主将・二木亮輔は「励まし合うことで、チーム内のコミュニケーションが増えて、連携も取りやすくなった」とチームの雰囲気が変わったという。

そして優勝した魚住フェニックスの主将・井川詠斗は「普段以上に一緒になって喜んでくれたので、ピンチでもプレッシャーが少なかったし、優勝した瞬間はとても嬉しかった」と話す。それぞれが野球を思い切り楽しんでおり、表情もどこか充実していた。こういった笑顔、大会の雰囲気こそ、ミズノが今大会目指した野球の形なのだろう。

表彰式には、阪神・佐藤輝明内野手(仁川学院出身)が登場し、プレゼンターとして選手たちにメダルなどを渡して、大会は終了した。今大会の責任者であり、ミズノの執行役員・斎藤真一は「去年が終わった段階で、『もっとベンチに入ったり、グラウンドに立ったりできる機会を作らないといけない』と思い、今年は取り組みました」と、前回以上に野球を楽しめるように、あらゆることで大会を盛り上げた。

カブトを被って”熱男”ポーズなどエキシビションマッチも大盛り上がり

ホームランを打てばカブトをかぶったり、ベンチにはペッパーミルを置いて、パフォーマンスをしたりと様々。エキシビションマッチもその中の1つで、応募する際に記入する一言メッセージを見て、ポジティブベースボールクラブとT&Sドリームキッズが出場。全選手が打席に立つだけではなく、スペシャルゲストで福留孝介さんが登場して選手への声掛け。さらには軟式球でのフリー打撃を見せるなど、全員が最後まで甲子園で野球を満喫した。

来年も大会は開催予定で、すでに応募も始まっている。野球人口減少は避けては通れない課題。特効薬はあるわけではなく、地道に続けていかなければいけない。そういった観点で見れば、今大会を開催する意義、そしてコンセプトは野球界にとって大きな意味を持つはずだ。

来年も大会が無事に開催され、1人でも多くの子どもたちが野球に触れて、「野球は楽しい」と感じてもらえることを願いたい。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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