体はどこからひねられる?【セルフコンディションニングお役立ち情報】
体は腰部よりも上の胸椎付近でひねられる。胸椎・胸郭の柔軟性を高めよう
野球に限らず多くのスポーツでは体をひねる回旋動作が欠かせません。ボールを投げる動作やバッティング動作など体をスムーズに回旋させることで、しなやかな動きを作り出し、より大きなパワーを生み出すことができます。この体をひねらせる回旋動作は脊柱を中心に行われますが、特に重要になってくるのが脊柱の中でも胸椎の動きです。
脊柱は頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個、そして仙骨、尾骨から成り立っています。バッティング動作などでは腰をひねってスイングしているように感じますが、本来もっている腰椎の回旋可動域はほとんどなく(左右5°程度)、その上に位置する胸椎がその役割を担っています(左右30°程度)。また胸椎部分には胸郭と呼ばれる「かご状」の骨格部分が存在し、肋骨、胸骨とともに構成され、心臓や肺などを保護する役割があります。このため胸椎とそれに付随する胸郭の柔軟性が良くなると、体をスムーズにひねりやすくなると考えられます。逆に胸椎や胸郭の動きが制限されてしまうと、振り返って物をとるといった日常動作のみならず、肩甲骨の動きにも影響を及ぼすため、スムーズな投球動作ができなくなったり、肩や肘を痛めたりする原因ともなってしまいます。
胸椎・胸郭の動きを改善するエクササイズとしてウォームアップなどでもよく用いられているのが、四股踏みの状態で体を左右にひねる動作ではないでしょうか。右肩と左肩を交互に前方にツイストさせることで胸郭の柔軟性を高めるストレッチです。また仰向けに寝転がった状態で胸を大きく開いて閉じるエクササイズなども、胸郭のしなやかな動きを高めることにつながります。
野球のプレーでは多くの場合、右回旋か左回旋のどちらか一方を多く繰り返すため、筋肉の柔軟性も左右差が生じやすくなります。こうしたエクササイズを行う時には左右差を確認し、どちらか一方が硬い場合は何度か繰り返して行ったり、普段行わない方の回旋動作を繰り返す等、筋バランスの改善を意識して行うようにしましょう。
文:西村 典子
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