人的補償で広島に移籍・日高 暖己は数年後に「2ケタ勝つ投手」になる! フォームは山本由伸、投球スタイルは森下暢仁!
富島時代の日高 暖己
広島はFA宣言でオリックスに移籍した西川 龍馬外野手(敦賀気比)の人的補償選手として、高卒2年目右腕・日高 暖己投手(富島)の獲得を発表した。
日高は上半身、下半身の連動が取れたバランスの良いフォームから繰り出す回転の良い140キロ台の速球をコントロールよく投げる投球が持ち味。
183センチ74キロと華奢だが、手足が長く、真上から腕を振り下ろせるフォームなので、角度を感じる。オリックスに入ってからエース・山本 由伸投手(都城)の足上げなどを真似たため、「由伸二世」と評されている。
高校時代は当初、全国的には無名だったが、九州地区担当スカウトからは密かに高評価されていた。3年生の夏前からプロ注目右腕として取り上げられる存在になった。
3年夏はエースとして宮崎大会全5試合に先発し、特に決勝の宮崎西戦では最終回に147キロを連発し、完封勝利。獅子奮迅の働きをみせて、甲子園に導いた。
甲子園初戦では下関国際(山口)戦で先発したが、5失点を喫し、敗戦投手に。連戦の疲れからか、宮崎大会ほどの凄みはなかったが、それでも完成度の高い投球フォームはスカウトが惹かれる存在だった。
22年のドラフトではオリックスから5位指名。将来のエース候補として、ルーキーイヤーは二軍で12試合20回を投げ、1勝1敗、防御率3.15と貴重な経験を積んだ。二軍の公式戦が終了してからは、フェニックスリーグ戦で4試合登板し、10回を投げ、1失点、防御率0.95の好成績をあげている。11月下旬から12月上旬に行われた台湾のウインターリーグにも参加し4試合に先発して、18回を投げ、14奪三振、防御率3.50だった。来季の飛躍が期待されていたが、今回の移籍となった。
ウインターリーグでの日高の投球を振り返ると、素材は素晴らしいが、スキルアップの時間は必要だと感じる。ストレートは常時140キロ前半から中盤程度で、130キロ前後のフォーク、スライダー、110キロ後半のカーブがある。制球を大きく乱すことはなく、ゲームメイク能力は高いが、まだNPBの一軍で通用するようなボールの強さはない。トレーニングでの平均球速のアップ、二軍のマウンドでの投球術のさらなるレベルアップが必要だろう。
オリックスは日高を3年目以降の一軍戦力として考えていたと思われる。広島はオリックスから日高の育成を引き継いだ、という見方もできる。
現在の広島の投手陣を見ると、大学卒が中心。日高は貴重な高卒投手となる。ストレートが150キロを超え、明らかにパワーアップした昨年のドラフト1位・斉藤 優汰投手(苫小牧中央)と並ぶ期待の若手と言えるだろう。
報道ではその投球フォームから「山本由伸二世」と呼ばれる日高だが、カープの若きエース・森下 暢仁投手(大分商・180センチ78キロ)に投手としてのタイプは似ている。日高同様、森下もプロの投手としては細身に入るが、150キロを超える速球を投げ込む。カーブ、スライダーなど1球1球の質も高い。無駄なく腕を振り下ろせる体の使い方は、日高のロールモデルになるだろう。
目指すは今年中に一軍デビュー。来年以降の一軍定着。ゆくゆくは先発として100イニング以上、10勝以上を日高には期待したい。