智辯和歌山の天才強打者・黒川史陽(楽天)は今季5年目、ラストチャンスに懸ける!
智辯和歌山時代の黒川史陽
2024年のプロ野球でぜひブレイクしてほしい選手がいる。楽天の黒川 史陽内野手(智辯和歌山)だ。智辯和歌山時代は甲子園5季連続出場をはたし、高校日本代表の一次候補にも選出。高校通算34本塁打を記録した大型セカンドである。
甲子園後に行われた国体では木製バットで4安打を記録。当時の取材で黒川は「金属バットでは力まかせで振っても飛んでいましたが、木製バットは来た球の力を利用して打つことが大事です」と語っていたように、木製バット特有のしなりを活かした打撃を実戦で発揮できる技術の高さがあった。甲子園や国体のパフォーマンスを評価され、19年のドラフトでは楽天から2位指名を受けた。
プロ1年目から一軍10試合に出場し、14打数2安打を記録。2年目はさらに出場機会を増やし、一軍で34試合出場。75打数14安打、打率.187に終わったが、二軍では47試合で打率.319、3本塁打、31打点を記録しており、あとは一軍でその実力を発揮するだけだった。
しかし3年目でも二軍が主戦場。94試合で6本塁打、50打点、打率.262と主力級の活躍を見せるが、一軍では17試合で63打数14安打、打率.222と一軍定着できずに終わる。
4年目となった昨年は、一軍でプロ入り最小の9試合出場に終わり、22打数2安打、1本塁打、2打点と実力を発揮できずに終わった。しかし二軍では92試合、339打数104安打、打率.307、5本塁打、55打点、出塁率.373、得点圏打率.339とファーム卒業級の成績を残している。
実際に黒川の打撃を見ても、構えが安定し、始動してからバックスイングを取ってインパクトに入るまでのスイング軌道に無駄がない。両膝もうまく使ってスイングしているので、低めにも対応でき、打率も残せる。
昨年の4月9日のロッテ戦では速球派の右サイド・横山 陸人投手(専大松戸)の152キロのストレートを引っ張ってライトスタンドへ運ぶ本塁打を放ったように力強さもある。あとは一軍でその実力を発揮するだけなのだ。
守備を振り返ると、最も守ったのはセカンドで、73試合に出場して、失策は3失策で守備率.990と悪くはない。
今季は今まで二塁スタメンだった主砲・浅村 栄斗内野手(大阪桐蔭)が三塁コンバートの案が出ている。ただ、昨年は浅村と併用で、二塁で77試合出場の小深田 大翔内野手(神戸国際大付)は大きな壁だ。
開幕一軍を勝ち取るためには、キャンプ、オープン戦で活躍しつづけるしかない。楽天は昨年、シーズン途中まで二軍打撃コーチを務めていた今江 敏晃監督が就任した。黒川は今江監督から指導を受けてきた。
今江監督の黒川への期待度は高い。黒川にとって今季は、ブレイクを狙うラストチャンスになるだろう。キャリアハイの成績を残し、今よりも選手として地位を高めることを期待したい。