足首の柔らかさ、硬さ【セルフコンディションニングお役立ち情報】
耐震構造と免震構造のイメージ
私たちは地面に与える衝撃と同じだけの地面反力を得て体を動かすことができます。足首は地面との接点であり、足首の柔らかさ、硬さによって衝撃を吸収したり、ダイレクトに体に跳ね返ってきたりします。足首の柔らかさを建物の免震構造、足首の硬さを耐震構造に置き換えて考えてみましょう。
足首が柔らかい「免震構造」では、足が地面に接地したとき、地面から受ける力(地面反力)をうまく分散させることができますが、足首が硬く、固定力の強い「耐震構造」では、地面反力が分散されることなくそのまま体を動かす推進力として使われます。地面反力を最大限に生かして瞬発力を高めるためには、足首をある程度固定した(もしくは足首が硬い)方が、バネのように力を伝達させることにつながります。ただし足首の硬さは地面反力からの衝撃を直接的に受けてしまうため、膝や腰などの荷重関節に負担がかかりやすく、場合によってはアキレス腱やふくらはぎなどの筋肉にも大きな負担がかかります。特に筋力が弱い状態ではケガのリスクが高くなることも考えられます。
一方で足首が柔らかい場合は、地面反力による衝撃をある程度ゆるめることができるため、足首や膝、腰など荷重関節への負担を軽くすることにつながります。特にランニング時に「膝が痛い」「腰が痛い」といった傾向が見られる選手は、足首の硬さがその一因となっていることも少なくありません。足首の硬さは人によってはパフォーマンスアップとなる一方で、人によっては膝痛や腰痛、アキレス腱などの痛みを引き起こすことにもなるのです。
足首は柔らかく保ちつつ、いざという時には足部を固定してバネのように使えることが理想的です。その前に足首が硬いという選手は、足首回しを日課にしてみましょう。座った状態で足を組み、足首を同じ側の手で抑え、反対側の手でつま先を持って左右にゆっくり10回程度回します。毎日行っていると日によって足首の硬さが違っていたり、左右の違いに気づくこともできるようになります。さらに足指の動きを意識させ、地面をとらえる力である把持力(はじりょく)を強化するためには足指と手指を組み、握手のようにして回すと良いでしょう。このとき痛みのない範囲で行うことが大切です。足首は地面との接地面であり、クッションの役割として、さらにはバネのように力を伝達する役割として日頃からセルフケアを実践していきましょう。
文:西村 典子
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