高卒4年で398試合出場は世代トップ 侍ジャパン入りを果たした紅林弘太郎の凄さとは
紅林弘太郎 ※撮影:林龍也
3月6日、7日に京セラドーム大阪で野球日本代表・侍ジャパンの欧州代表との強化試合「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024 日本 vs 欧州代表」が行われる。
この試合で注目したいのが、自身初の侍ジャパン入りを果たしたオリックスの紅林弘太郎だ。
2023年はショートしてリーグトップクラスの成績
2年目から遊撃レギュラーを掴んだ紅林だったが、4年目の昨季は開幕を二軍で迎えた。しかし4月に昇格すると遊撃レギュラーに返り咲き127試合に出場、3年連続で規定打席に到達した。
打者としては打率.275(443打数122安打)、8本塁打、39打点をマーク。特に打率.275はリーグ6位と大健闘しており、OPS.695も21歳(当時)の遊撃手としては上々の数字と言える。
さらに守備面でも遊撃手としてリーグトップの1072.3イニングを守り、刺殺200、捕殺320、守備率.989はいずれもリーグトップ。規定試合に達した遊撃手の中で失策6は最少だった。惜しくもゴールデングラブ賞は1票差で源田壮亮に敗れたものの、攻守で大きな成長を遂げたシーズンだった。
レギュラー定着以後の打率/守備率を見ると、2021年は.228/.971、2022年は.224/.979と我慢の起用だったとも言えるが、2023年は.275/.989と一気に向上。遊撃レギュラーとして堂々たる成績を残した。
同世代には佐々木朗希や岡林勇希ら
駿河総合高時代から大型遊撃手として注目された紅林は、甲子園出場こそなかったものの、2019年ドラフトでオリックスから2位指名を受けてプロ入り。佐々木朗希(大船渡高/ロッテ)、奥川恭伸(星稜高/ヤクルト)、宮城大弥(興南高/オリックス)らがいる世代だ。
野手では岡林勇希(菰野高/中日)、石川昂弥(東邦高/中日)、長岡秀樹(八千代松陰高/ヤクルト)と、既にチームの顔になりつつある選手もいるが、それらの選手たちと比較しても優秀な数字が並ぶ。
まず出場398試合は断トツの数字だ。2位の岡林(315試合)を大きく引き離している。それに伴い1468打席、1358打数もトップだ。329安打は岡林の341安打に次ぐ2位だが、24本塁打、121打点、472塁打は堂々のトップとなっている。
通算1000打席以上に立っている紅林、岡林、長岡の中で、打率・長打率・出塁率のはいずれも岡林に次ぐ2位だが、同じ遊撃の長岡との比較では、3つの指標全てで上回っている。
「試合に出てナンボ」とも言われるプロ野球の世界だが、試合に出続けるのが一番難しい。1年間通して戦う体力、故障しない体の強さ、一軍で活躍する技術、勝負所で結果を残すメンタルを兼ね備えていなければできない。それを若くしてこなしていることが、何よりの紅林の魅力ともいえる。
自身初の侍ジャパン入り
今回の強化試合が、紅林にとって初の侍ジャパン入りとなる。昨年11月に行われた「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」でも代表入りする予定だったが、左手の負傷により辞退した。
代表では自ら「3番・遊撃」に立候補するなど意欲は十分。ここで勢いに乗り、シーズンでも好成績を残し、11月に行われる第3回WBSCプレミア12、そして2年後の第6回WBC代表入りの足掛かりとしたい。
プロ入り2年目から世代トップクラスの活躍を見せてきた紅林だが、2023年シーズンはパ・リーグでもトップクラスの遊撃手と言える成績を残した。5年目の今季は同世代の大卒選手たちがプロ入りしてきたが、紅林にはプロで既に結果を残している「先輩」として、世代をけん引する活躍に期待したい。
文:林龍也
<通算100試合以上出場の同世代の野手成績>