試合レポート

【練習試合】センバツ優勝候補の一角・星稜の仕上がりは順調! 対至学館

2024.03.15


星稜・佐宗投手

<練習試合:至学館2―2星稜、星稜11―0至学館>◇9日◇至学館高校志段味グラウンド

昨秋の北信越大会を制し、その後の明治神宮大会でも優勝を果たした星稜(石川)。18日に開幕するセンバツでも優勝候補の一角にも挙げられている強豪だ。北陸の石川県金沢市の星稜は、この日、午前5時に出発してきたというが、金沢では雪も積もっていたという状態だったという。解禁となった先週末は、まだ現地では試合が出来る状況でもなかったので、この日が今季初の対外試合ということになった。センバツの組み合わせは大会初日の2試合目、相手は21世紀枠代表の和歌山県の田辺である。日程的にも早いということで、チームの仕上がりもピッチを上げていかなくてはならないということになった。

星稜の先発は昨秋も1番をつけていた左腕・佐宗 翼投手(3年)だ。予定の3イニングを被安打1で0に抑える無難な投球だった。それでも本人は、「出来としては50~60点くらいでした。細かいコントロールとかが、まだ思うようなところに行かないところがありました。大会までには、そこをしっかりと整えていきたい」と、甲子園への思いを語った。また、明治神宮大会で優勝して、チームとしてはセンバツでも優勝候補の一角に挙げられているということについては、「特別に意識はしていません。チャレンジしていく気持ちは変わっていません。それは、皆も同じだと思います」と、平常心での戦いを誓っていた。

投球の組み立てとしては、スライダーを一番の武器としているということだが、ツーシームとカーブにチェンジアップも投げ分けていく、多彩な球種を持ち味としている。

さらには、2人目の新島 星空斗投手(3年)は、代わり端に四球と安打を与えてしまい、スクイズで失点して、ちょっと不安を覗かせた。5回にも米澤 虎徹内野手(3年)に中越え二塁打を浴びるなどしてバントで失点。それでも、3イニング目には自分の投球を取り戻したという感じだった。そして、3人目の戸田 慶星投手(2年)はテンポのいい投球で3イニングを3人ずつでしっかりと投げた。

星稜はオーダーとしては同じメンバーでスタートした2試合目は、1試合をこなして慣れてきたということもあってか、序盤から6番能美 誠也捕手(2年)の三塁打や、2回にも芦硲 晃太外野手(3年)の二塁打に中谷 羽玖内野手(3年)、吉田 大吾内野手(3年)の連打などで追加点を挙げた。星稜打線は、中軸もさることながら1番・芦硲、2番・中谷は積極的に、しっかりと球を捉えてシュアな打撃を示していた。今季からの新基準の飛ばないバットということも、あまり感じさせない打球だったのではないかと思わせる力強いものだった。主将でもある芦硲はこの日は9打席立って、8打数5安打と好調ぶりを示していた。

また、能美捕手も好リードで5人の投手を引っ張り、6番に入っていた打撃でも4安打と気を吐いた。今季の初戦ということを考えれば、星稜としてはいい仕上がりになってきているといっていいのではないだろうか、という印象だった。

至学館は、一昨年秋は2年連続で東海地区大会に進出するなど、甲子園出場も見えてきていたが、シード校として迎えて、期待された昨夏は初戦で西尾に足元を掬われるような形で敗退してしまった。それでも、1年を通じて力のあるチームだったという印象は与えていた。

昨秋の新チームからは、創部当初から長年チームを率いてきていた麻王義之監督が勇退。鈴木健介新監督となって挑んだ。夏の経験者は主将のエガレバ クリントン内野手(3年)以外は、ほとんどいないという状態だった。それでも初戦は、夏のベスト4だった中部大春日丘に終盤にビッグイニングを作って快勝したが、3回戦では東邦に敗れた。
新チームとしては、経験値の不足は否めないところで、まずは春季大会へ向けて、できるだけ多くの経験をしていきたいというのが本音であろう。鈴木監督も、「力はあまりないので、何とかくらいついていく野球をやって行かないといけない」という思いである。

投手陣は、左下手投げの松本 龍誠投手(3年)に、直球に力のありそうな堀尾 映太外野手(3年)、更には左腕で、一見するとぎくしゃくした感じで投げ込んでくる変則タイプの川田 大葵投手(3年)に、右下手投げの串田 拓真投手(3年)と、バラエティーに富んでいる。さらには5イニングで3失点はしたものの、無難に投げた荒川 拓海投手(3年)も、この日の踏ん張りは、ある程度自信にしていってもいいであろうと思われる。

星稜は、翌日も遠征試合となるが、それで一旦は学校に戻り、甲子園へは改めて出発をするということである。

この記事の執筆者: 手束 仁

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